りんごスイーツと全国有数の積雪量が生み出す県民性は?【47都道府県 発掘シリーズ:青森(Aomori)編】

  • Jan 20, 2023
  • June 28, 2023
  • Asami Koga

青森県 奥入瀬渓流

日本には、全部で47の都道府県があります。

地域によって、街並みやアクティビティ、グルメなどの特徴が異なるように、地元の人々の県民性も様々。このシリーズでは、都道府県ごとの魅力や、ご当地あるあるを紹介し各県のローカル事情を掘り下げていきます。今回取り上げるのは、東北地方の青森県。桜で有名な弘前公園、夏のねぶた祭、風光明媚な奥入瀬渓流や十和田湖など、観光名所やアクティビティが多い青森について一緒に学んでいきましょう!

『じょっぱり(頑固者)』は津軽弁!津軽・南部・下北の3地域で分かれる県民の特徴

青森県 津軽・南部・下北

東北地方の最北に位置する青森県は、青森市をはじめとする西部エリア「津軽」、まるで斧のような形の下北半島はじめ北東部にあたる「下北」、そして奥入瀬渓流や十和田湖のある「南部」と、大きく3つのエリアに分かれていて、それぞれ方言も県民性も異なります。

ところが、りんごの生産で有名なのも、「日本三大桜の名所」の一つ、弘前公園がある弘前市も西部エリアで、青森=津軽の知名度が高いため、全国的に「青森の県民性」と言われるのも、どちらかというと津軽地域の人ならではの特徴が多いそう。そのため、下北や南部地域の人からすれば、「それは違う!」と思ってしまうことも少なくありません。

例えば、青森県民の特徴としてよく使われる「じょっぱり精神(意味:「意地っ張り、強情)」。実は、「じょっぱり」は津軽弁で頑固者を意味する言葉で、津軽人の特徴が「「じょっぱり」なのです。

その他に、津軽人は「派手好き」「世話好き」「陽気」などの特性を持っているとされています。そうした特性は、弦楽器と打楽器の特性を併せ持ち迫力のある音色が魅力の津軽三味線や、各地で開催される祭りへの情熱を考えるととても納得ですね!

津軽三味線

南部人は物静かで、わりと人見知りが多い傾向。ただし、一度心を開いた相手のことは、大切な仲間として接してくれます。また、津軽人はチャレンジ精神が強く、仕事もプライベートも自分から積極的に行く場合が多いが、南部人は自分から行くのではなく、待ちの姿勢をする場合が多い。周りの状況やバランスを見ながら、動こうとしがち。こうした傾向もあり、昔から南部人は商売上手と言われています。八戸市に本社がある企業で、東北各地に進出している企業では、東北6県に112店舗を展開している株式会社サンデーと、青森・岩手・秋田でスーパーマーケットを展開する株式会社ユニバースなどがあります。

また、青森県というと、津軽や南部の印象が強いですが、「下北」も忘れてはいけません。下北人は津軽人っぽい性格と南部人寄りの性格、どちらも持ち合わせています。陽気で、地元民同士の集まりで大盛り上がりする一方、顔見知り以外には人見知りになり、物静かになってしまいます。

青森県は女社長をたくさん輩出している県!その原因は男性の短い平均寿命にある?

青森県は女社長をたくさん輩出している県

青森県民の特徴の一つとして、「女性の強さ」が挙げられます。実は、青森は過去の1990年から

2010年まで女性社長輩出率が全国No.1で、2021 年 4 月時点での女性社長の比率は10.9%で沖縄 11.4%、徳島 11.3%に次ぐ全国3位!全国水準の8.1%と比較しても高い水準です。(参照:帝国データバンク「2021年都道府県別女性社長割合」)

女性社長が多い県だけに、「津軽女性はハッキリモノをいう」「南部女性はよく働く」など、気の強さや働き者っぷりを表現する言い方をされることもしばしば。ただ、この女性社長率の多さは男性の平均寿命の短さが関係しているとも言われています。

厚生労働省が5年に1度つくる都道府県別生命表の「均寿命の推移(男)」によると、1965年から2015年まで青森男性の平均寿命は全国で最も短く、さらに男女とも最下位だった2015年のデータでは男性78.67歳、女性は85.93歳で女性より7.26年も短くなっています。そのため、社長だった父親や夫が亡くなり、娘や妻が後を継ぐ、同族承継の割合が高いのです。実際、帝国バンクの「女性の就任経緯別(全体、2021年)」によると、同族承継の割合が全国50.8%に対して、青森県が62.4%と、全国より10%以上も高くなっています。

世界一の豪雪地帯になったことも⁉ 青森市の冬に欠かせない冬の三種の神器とは?

スノーダンプ

2021年12月に、111cmで1m以上もの積雪が観測され、12月としては37年ぶりの記録的大雪が観測され、2022年2月6日にはなんと146cmもの雪が降り積もった青森県青森市。過去には、アメリカの「AccuWeather」という気象情報メディアの豪雪地帯に関する調査で、「人口10万人以上の都市の年間降雪量」の世界1位を取ったこともある県内屈指の豪雪地域です。

短期の旅行なら良いのですが、さすがに1m以上もの積雪で、屋根に積もり市内各地に雪の壁ができるとなると、日常生活にも支障が出るレベル。

そのため、青森市民の自宅には、冬を過ごすための三種の神器があります。それは、「スノーダンプ」「スノーブラシ」そして、「長靴」です。

青森県民が冬を過ごすための三種の神器

①スノーダンプ

雪片付けには、必要不可欠なのが、東北エリアではおなじみの雪掻き道具「スノーダンプ」。ちなみに別名「ママさんダンプ」とも呼ぶそう。

これは、普通のスコップでは雪を片付けるのに時間がかかりすぎてしまうため、足で踏みながら雪にダンプを刺して、雪をすくい上げて使います。スノーダンプは体全体を使うので、効率よく大量の雪を片付ける事ができるのです。

②スノーブラシ

スノーブラシ

車に積もった雪を落とす「スノーブラシ」は、車社会の青森県では、雪の季節になると車に必ず積んでおくアイテムの一つ。

③スノーブーツ・長靴

冬の期間、青森県内の道路は雪が積ったり凍結してしまったりしていることが多いため、スノーブーツや長靴の利用が不可欠です。

防水・撥水機能がついていないスニーカーなどで歩くと、雪で靴内が水浸しになったり、凍った路面で滑る危険性もありますので、もし冬に青森旅行にいくなら、必ず専用シューズを持参しましょう。

スノーブーツ・長靴

赤飯に茶碗蒸しも。。。アップルパイだけじゃない!青森の甘い食べ物

お祝いごとがある時に食べるおもてなし料理。青森県では、このおもてなし料理が甘く味付けられていることが多いです。例えば、もち米に小豆などを炊き込み、見た目が赤く色づけされた「お赤飯」。

赤飯

 なぜ様々な料理の味付けが甘くなったのかの理由は諸説ありますが、一説によると当時は高価なぜいたく品だった砂糖を使用しごちそうを作ることで、おもてなしの心を表したという説があります。青森の優しさが甘みに詰まっているのですね。

お赤飯以外にもいなりずしや茶わん蒸しも甘く仕上がっているのが青森の特徴で、いなりずしは中に紅ショウガが入っておりピンク色のお米がぎっしり詰まっています。お花見の時にぴったりの可愛らしい色合いです。見た目も楽しみたいのが県民性なのかも知れませんね。

青森の茶わん蒸しは銀杏の代わりに栗の甘露煮が入っています。さらには甘露煮の入っていたシロップまで調理段階で入れてあるので、ちょっとしたデザートのようです。とはいえ鶏肉やしいたけなど、普通の材料も入っているので青森県外の人は苦手な人も少なくないようです。

茶碗蒸し

こうした甘い味付けのおもてなし料理は、人によっては「ちょっと苦手だな」と感じる人もいると思いますが、青森県民からすれば、甘くない赤飯、茶碗蒸し、いなり寿司を食べたら「味がない!」「食べた感じがしない!」と物足りなく思ってしまうそう。

全国的にも珍しく、青森県民のおもてなし精神が詰まった郷土料理、青森を訪れる機会があれば、ぜひお試しあれ!


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