東京を脱出して神奈川に移住する日本人が急増!【47都道府県コレクション:神奈川編】

日本の2大都市と言われて思い浮かべるのはどの都道府県?多くの人が、「東京」と「大阪」と答えるのではないでしょうか。しかし、人口の多さでみると、東京が1位で大阪は3位。では、2位は…?

その答えが、この記事の主人公、神奈川です。横浜、鎌倉、箱根…有名な観光スポットがたくさんあるけど、「神奈川県」という県名の知名度はちょっと低め。今回は、そんな神奈川の知られざる一面に迫ります。

神奈川は、様々な食べ物の「発祥の地」

日本のアイスクリームやビールは、神奈川の横浜が発祥の地とされています。

日本は、江戸時代の1639年から200年以上にわたり鎖国政策を取り、オランダなど一部の国を除いて外国との交流を行いませんでした。しかし1853年にアメリカからの開国要求を受けて、日本は開国を決意。1859年には横浜、長崎、函館(北海道)に港をオープンし、外国との貿易を再開しました。これによって横浜は海外との貿易の重要な拠点となり、外国から輸入した製品や食べ物が横浜に集まるようになりました。横浜の人たちは、海外から輸入したアイスクリームやビールの味や製法を参考にしながら、日本人の好みに合う味に進化させました。

1869年に横浜に開設された「ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー」(現在は閉鎖)は、日本に初めてできたビール醸造所として知られています。

日本独自のスパゲッティ、「ナポリタン」も横浜で誕生したと言われています 。

ナポリタンとは、トマトケチャップ味のソースをかけたスパゲッティです。ソースには、炒めたハムやピーマン、玉ねぎが入っています。「ナポリタン」という名前ですが、発祥の地はイタリアのナポリではなく横浜です。

今では日本の庶民グルメの定番となったナポリタンは、横浜のホテル「ホテルニューグランド」が第二次世界大戦後に考案したといわれています。ホテルニューグランドは1945年から1952年までGHQ(*1)の将校の宿舎として使われており、ホテルの料理人が、将校たちがスパゲッティにトマトケチャップをかけて食べているのにヒントを得てナポリタンが誕生したと言われています。

*1: 連合国最高司令官総司令部。太平洋戦争後の日本を占領・管理するための最高司令部として1945年東京に設置された。

「ハマっ子」は、新しいものが大好き

東京で生まれ育った人のことを「江戸っ子」(えどっこ)と言いますが、横浜で生まれ育った人は「ハマっ子」(はまっこ)と呼ばれます。

ハマっ子は、新しいもの好きと言われています。前述のように、横浜は江戸時代から海外との貿易の拠点として栄えたため、日本のほかの地域より早い時期から西洋文明に触れることができました。そのため、昔からハマっ子は海外の珍しい食べものや商品に触れる機会が多かったのでしょう。それが、新しいもの好きな気質につながっているのかもしれません。

日本人の多くは、出身地を聞かれたときに、都道府県名で答えますが、ハマっ子は出身地を聞かれたときに「神奈川県」と答えずに「横浜」と答える人が多いと言われています。彼らが横浜という場所に誇りを持っている証拠ですね。

県民の3分の1が東京をライバル視している

ある調査(*2)によると、神奈川県民の36%が、「東京都をライバル視している」と回答しました。

神奈川県の人口は約922万人(2022年4月1日時点)。 これは、東京都(約1,399万人) に次いで全国2番目の多さです。(3位は大阪府で約877万人)

神奈川には、東京の新宿や渋谷に匹敵する大都市の横浜があります。また、日産自動車をはじめとする多くの大企業が神奈川県に本社を構えています。このような事情が、隣接する首都・東京をライバルとして見てしまう理由かもしれません。

*2 ソニー生命(2021年)

東京より神奈川に住みたい人が増加

先ほど、神奈川県民は東京のことをライバル視していると述べました。しかし、最近はむしろ、東京都民が神奈川県をライバル視するような状況にあります。なぜなら、東京から神奈川県に引っ越す人が近年増えている=東京より神奈川の方が人気と言えるからです。

2021年に東京23区から転出(※東京23区からほかの自治体に引っ越すこと)した人が、どの自治体に引っ越したのか調べた結果、神奈川県横浜市が最も多く、神奈川県川崎市、埼玉県さいたま市が続きました。 東京都民の引っ越し先の1位と2位が、神奈川県にある市となったのです。

都民が神奈川に引っ越す理由のひとつが、新型コロナウイルスの流行によってリモートワークをする人が多くなったことです。具体的には…

  •  神奈川は東京に隣接しているので、東京の会社で働く人も通勤しやすい。
  •  東京に比べて不動産価格やマンションの家賃が安い:リモートワークの導入で自宅にワークスペースを作る人が増えており、東京より安い家賃で広い空間に住める神奈川に引っ越す。

そして、神奈川が引っ越し先として人気の理由はもうひとつあります。それが、鎌倉、江の島、葉山など、海の近くに暮らせるということ。仕事前にサーフィンやビーチ散歩…このようなライフスタイルにあこがれて神奈川に移住する人も増えています。

文章の語尾に「じゃん」や「だべ」をつける

神奈川県は東京に隣接しており、神奈川県民が話す日本語は東京の人が話す日本語とあまり変わりません。しかし、いくつかの方言があります。それが「じゃん」と「だべ」です。

「じゃん」は、形容詞のあとに付きます。例えば、「あなたの服装、かわいいじゃん。」のように使います。「じゃん」自体は特別な意味を持っていません。したがって、「あなたの服装、かわいいね。」と同じ意味です。

「だべ」は疑問形の文章の語尾に付きます。話し手が相手に同意を求めるような場面で使う方言です。例えば、「神奈川の人気スポットといったら、横浜だべ?」のように使います。これは、「神奈川の人気スポットといったら横浜だ」ということについて、相手の認識も同じであることを確認する意味を持っています。(英語でいう~isn’t it?のような感じ)

これらの方言は、特に横浜の人が使用すると言われています。もしあなたが横浜の人と接する場合は、これらの方言を使ってみてはいかがでしょう。


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