海外から日本に訪れる理由に「グルメ」を挙げる人が増えています。そんな日本ならではの食文化として知っておきたいのが「和菓子」です。和菓子のなかにはあんみつのように年間を通して売られるものだけでなく、水信玄餅や水無月のように夏限定で販売されるものもあり、和菓子を通じて四季を感じられます。今回は夏に日本を訪れたら食べたい夏の和菓子をご紹介しましょう。
※記事で紹介した商品を購入したり予約をしたりすると、売上の一部がFUN! JAPANに還元されることがあります。
和菓子とは?自然素材で作られる日本の伝統菓子
和菓子は、日本の歴史や季節感から生まれた伝統文化です。その歴史は縄文時代に始まったとされており、木の実を粉砕して、水でアクを抜き丸めたもの。これが団子の始まりといわれています。
季節の移り変わりがはっきりしている日本では、和菓子でも季節感を大事にしています。特定の時期だけに作られる和菓子があり、日本ではこれらを通じて四季の訪れを感じられるだけでなく、和菓子の形状や色合いを変えて季節を表現することもあります。
洋菓子とは異なる点が多いのも和菓子の特徴。和菓子は主に米や小豆、和三盆というサトウキビを原料とした国産砂糖を使用しますが、洋菓子は小麦粉やバター、砂糖を多く使用します。
また、和菓子に使われる材料は、古くから親しまれてきた自然の素材を活かしたものが多く、素材本来の味を大切にする和食文化を反映しています。
外国人におすすめ!日本の夏の和菓子10選
夏の和菓子は、湿度が高くて食欲が低下しがちな日本の夏に寄り添うように工夫されており、涼しげな見た目や喉越しのよさ、さっぱりとした味わいが特徴。つるんとした食感のものが多く、見た目からも涼しさが伝わってきます。また、夏を象徴する風物詩を模した和菓子も人気です。
① 水まんじゅう|海外でも話題の透明スイーツ
「水まんじゅう」は、葛粉やわらび粉で作った透明感のある生地で餡を包み、井戸水で冷やした和菓子です。今では全国で親しまれていますが、発祥は岐阜県大垣市だと言われています。
つるんとした喉越しと、もっちりとした食感が特徴。冷蔵庫や冷凍庫に入れると食感が悪くなるので、直射日光や高温多湿を避けた常温で保管のうえ、食べる直前に冷やして食べるのが一般的です。見た目にも涼しげで、夏の訪れを感じさせてくれます。
② あんみつ|外国人にも人気の和風パフェ
食物繊維が豊富な植物性の天然凝固剤である「寒天」をベースに、小豆などの豆類を煮て砂糖を加え練り上げた「あんこ」や、白玉粉または餅粉に砂糖や水飴を加えて練り上げた「求肥(ぎゅうひ)」、赤えんどう豆、甘い蜜などをトッピングした和菓子です。寒天と色とりどりのフルーツが涼しげな印象を与えてくれます。アイスクリームを乗せた「クリームあんみつ」や、白玉団子を加えた「白玉あんみつ」も人気です。
あんこがのっていないものは「みつ豆」と呼ばれており、あんみつはそのみつ豆にあんこを加えたもの。初夏から夏にかけて需要が高まる、涼やかな和のスイーツとして昭和初期から親しまれています。東京にはあんみつを提供する老舗の甘味処が複数あり、夏には行列ができるほどです。
③ 水無月|6月に食べる伝統和菓子
「水無月(みなづき)」は6月30日に行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」の際に食べられる、京都の郷土菓子です。夏越の祓は上半期の罪や穢れを祓う行事で、残りの半年間の無病息災を願って食べます。
米粉・砂糖・水を混ぜて蒸した、白い「ういろう」生地の上に甘く煮た小豆を載せ、三角形に切られているのが特徴。この三角形は、室町時代の宮中で食べられていた氷を模しています。江戸時代、庶民は貴重な氷を食べられなかったため、ういろう生地で氷を表現したのです。
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④ わらび餅|もちもち食感が楽しい人気和菓子
「わらび餅」は山菜のわらびの根から採れるでんぷんの粉から作られる和菓子で、きな粉や黒蜜と一緒にいただきます。もっちりとした食感が特徴で、ひんやりとした口当たりとやさしい甘さが夏らしい和菓子です。
とくにできたてを冷やして食べると格別のおいしさ。家庭でも手軽に作れるため、夏のおやつの定番のひとつです。近年は抹茶や、冷たい「生わらび餅」も人気です。
和菓子店では本わらび粉を使用しますが、スーパーなどで売られているものは、本わらび粉の代わりにサツマイモやタピオカのデンプンを使っていることが多く、こちらはしっかりとした食感が味わえます。
⑤ 葛切り|上品な甘さのひんやりスイーツ
マメ科の多年草「葛(くず)」の根から採れるデンプンでできた葛粉を水で溶かし、加熱して板状に固め、麺状に細長く切った和菓子。京都の祇園が発祥とされ、約300年の歴史を持つ夏の風物詩です。
「葛切り」はもちもちした食感と喉越しの良さが特徴。黒糖をベースに水や砂糖を加えてさらに煮詰めた、とろみのある茶褐色の液体甘味料である「黒蜜」をかけて食べる、夏が旬の甘味として親しまれています。
⑥ 葛餅|黒蜜ときなこで楽しむ夏菓子
「葛餅」は関西と関東で異なる和菓子です。関西では葛粉を使って作られる、ゼリーのような涼しげな見た目とつるんとした舌触りが魅力。関東では、発酵させた小麦でんぷんを使用するので、弾力のある独特の歯ざわりが感じられ、発酵由来のほのかな酸味が感じられます。
表記も異なり、関西では漢字で「葛餅」と書き、関東では「くず餅」「久寿餅」と書きます。いずれもきな粉や黒蜜をかけて食べるのが一般的です。
⑦ 錦玉羹|宝石のように美しい涼菓子
「錦玉羹(きんぎょくかん)」は、寒天を水に溶かし、砂糖や水あめを加えて煮詰め、冷やし固めた透明感のある和菓子です。宝石のような美しさから「食べる宝石」と呼ばれることも。シャリッとした砂糖の食感と寒天のつるんとした口当たりが特徴で、使い道によって色を染めたり、いろいろな材料を混ぜて金魚や水面などをあしらったりと、見た目のバリエーションが豊富です。
「琥珀(こはく)」「琥珀糖(こはくとう)」「琥珀菓子(こはくがし)」「金玉羹(きんぎょくかん)」「夏羊羹(なつようかん)」など、さまざまな呼び名があります。クチナシの実で透明の寒天を琥珀色に着色することもあったためこの名が付いたとされており、江戸時代は金玉羹の名称の方が一般的でした。
⑧ ところてん|甘くないユニークな夏の味
「ところてん」は、海藻の天草(テングサ)を煮溶かし濾して、型に流し固めたものです。これをところてんつき(てんつき)という専用の道具に入れて線状に突き出し、関東では酢じょうゆと和からしで、関西では黒蜜ときな粉をかけて食べます。関東では食事・おかずとして、関西ではおやつ・デザートとして楽しまれており、この違いは江戸時代の砂糖の流通事情や食文化の違いに由来します。また、中部地方は三杯酢、四国はだし汁で食べる地域が多いようです。
ところてんを凍らせて乾燥させたものが「寒天(かんてん)」で、その寒天を使った「水信玄餅」は、山梨県の金精軒が6〜9月の土日限定で販売する人気の和スイーツ。南アルプスの天然水を少量の寒天で固めており、透明でぷるぷるな食感が特徴。店舗での賞味期限はわずか30分という繊細な生菓子として話題を集めています。
⑨水ようかん|冷やして楽しむ定番和菓子
寒天と砂糖、小豆を煮溶かして冷やし固めた和菓子です。「水ようかん」は、練りようかんよりも寒天の量が少なく、あっさりとした甘みとつるんとした食感が楽しめます。練りようかんは糖度が高いため長期保存可能ですが、水羊羹は糖度が低いので短期間で食べなければなりません。
主に夏の風物詩として冷やして食べられますが、福井県など一部地域では冬の定番としても親しまれています。
⑩麩まんじゅう|笹の香りが涼しい上品な夏和菓子
「麩まんじゅう」は、小麦粉のグルテンから作られる「生麩(なまふ)」でこしあんを包み、主に笹の葉で巻いた夏の定番和菓子。モチモチとした食感とつるんとした喉越し、笹の爽やかな香りが特徴で、上品な甘さが楽しめます。
生麩に青のりやよもぎが練り込まれていることもあり、その風味と中のあんこの対比も絶妙。京都などの老舗や和菓子店で夏に販売されており、賞味期限は1〜2日程度と短めです。
日本旅行での和菓子の楽しみ方
日本に訪れると、単に和菓子を食べる以外の体験もできます。日本ならではの和菓子をいただけるシチュエーションで、その魅力を感じてみましょう。
和菓子作り体験に参加する
京都や東京など、和菓子が有名なエリアでは実際に和菓子作りを体験できる場所があります。もちろん初心者でもイチから教えてもらえるので安心です。子どもから大人まで親子で楽しめる教室や、当日予約OKな教室、外国語に対応した教室などさまざまな選択肢があります。.
👉東京|季節の和菓子作り体験 2種類|日本の伝統菓子の世界へようこそ 中国語/英語ガイドへアレンジ可能
茶道体験と一緒に味わう
茶道体験では、抹茶の前に甘い和菓子を食べるのが基本の作法。これはお茶の苦味を引き立て、胃を保護する役割があります。和菓子の食べ方にもルールがあり、木製の菓子切り「黒文字」を使って一口大に切り分けて、和菓子が置かれた懐紙の上でいただきます。和菓子の名前は季節感を大切にしており、その景色を想像しながら楽しむといいでしょう。
👉東京屋形船桜テーマのデイクルーズ|茶道体験、和菓子、三味線生演奏
老舗店で職人技を見る
老舗の和菓子店のなかには、まるで寿司屋のように目の前で職人が作る和菓子を味わえる店があります。代表的なのが、東京・日本橋にある和菓子の名店「鶴屋吉信」内にある「菓遊茶屋」。職人が目の前で作る和菓子を、お抹茶とともに楽しめます。
日本旅行中に夏の和菓子はどこで買える?
日本には和菓子文化が日常に溶け込んでいるので、専門店以外でも手軽に購入できます。旅の帰りに気になる和菓子を買ってみるのもおすすめです。
駅ナカ・空港売店|帰国前に買える便利スポット
おおよそのターミナル駅や空港内の売店でも日本ならではの夏の和菓子が売られているでしょう。駅や空港であれば移動のついでに購入できるので、日本滞在中の時間を効率的に使いたい人にぴったりです。
コンビニ・スーパー|気軽に試したい人向け
気軽に和菓子を買ってみたいなら、コンビニやスーパーに足を運んでみるのもいいでしょう。ただし、夏限定の和菓子に絞ると種類は限られてしまいます。わらび餅やあんみつ、ところてんであれば、スーパーで売られていることも多く、わらび餅やあんみつは和菓子やチルドスイーツコーナー、ところてんはこんにゃくなどの売り場に並んでいます。
百貨店のデパ地下|種類豊富で選びやすい定番スポット
百貨店の地下は、惣菜や弁当が購入できるだけでなく、和菓子店も多数揃っています。老舗の和菓子店が出店していることが多く、夏ならではの和菓子を見つけられるでしょう。ただし、夕方は人が多いのでスーツケースを持ったままの移動は避けたほうが無難です。
老舗和菓子店|本格的な味と日本文化を体験したい人向け
せっかく日本に来たなら、老舗の和菓子店に一度足を運んでみるといいでしょう。海外からの観光客が多いエリアであれば、外国語での接客もスムーズです。購入の相談にも乗ってもらえるかもしれません。
お土産用の和菓子はどう選ぶ?失敗しないポイント
お土産として和菓子を選ぶ際、気を付けたいポイントがいくつかあります。まず、国ごとの持ち込み規制や検疫についてです。あんにバターやクリームが使われているものなどは、アメリカなど一部の国では没収されるリスクがあります。また、小豆を使ったあんは市販の密封包装されたものであれば原則持ち込み可能(申告が必要な国もある)ですが、手作りのお菓子は成分がわからないので没収される可能性があります。お土産として持ち帰りたい場合は、持ちこむ国の検疫情報などをチェックしておくと安心です。
生菓子も日持ちがしないため海外への持ち運びには適しません。特に夏場や乾燥した気候ではすぐに痛みます。また、水分を多く含むようかんは、セキュリティチェックで「液体物」とみなされ、100ml(100g)を超えるものは機内持ち込みできません。持ち帰りたい場合は、100g以下の個包装のものにするか、預け入れ手荷物にしましょう。
また、お土産を渡す相手への配慮も必要です。小豆の皮の食感や、独特の甘さを苦手に感じる人が多いので、最初は「こしあん」や、抹茶味、甘さ控えめのものから試してみては。
和菓子で季節を感じる日本ならではの文化を体験しよう
旬の素材を使うことはもちろん、菓子そのものに季節感があるという点で、和菓子に並ぶ食べ物はありません。日本人が古くから大切にしてきた文化を食を通して知れるので、まさに日本旅行でこそできる体験です。季節を表現した和菓子を通して、その多彩さや感受性の豊かさを感じてみましょう。
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