福岡・博多から少し足を伸ばすと広がる、緑豊かな聖域「太宰府天満宮(だざいふてんまんぐう)」。ここは単なる観光地ではなく、一人の偉大な人物の魂が眠り、今なお進化を続ける信仰の地です。
2027年には御祭神*・菅原道真(ごさいじん・すがわらのみちざね)公が亡くなられて1125年という歴史的な節目「式年大祭」を控え、今しか見られない「仮殿」や最新のアートプロジェクトなど、見どころが満載。
そこで、今回はエディターが実際に現地を訪れ、太宰府天満宮で神職を務める高山さんを取材。この記事では、うかがったお話をもとに、御祭神・菅原道真公の伝説から、正しい参拝作法、博多駅・天神からのアクセス、おすすめのお守りまで、旅行者が知りたい情報を網羅して解説します。
*御祭神とは、その神社に祀られている神様のこと
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菅原道真公の歴史と「25」にまつわる聖なる秘密
太宰府天満宮を語る上で欠かせないのが、御祭神・菅原道真公の物語です。
天才の栄光と悲劇
1.「天神神号・束帯天神像」部分,後陽成天皇 書、黒田綱政 画,太宰府天満宮所蔵 画像提供:太宰府天満宮
平安時代、類まれなる才能で右大臣にまで登り詰めた道真公でしたが、無実の罪を着せられ、遠く離れた大宰府*へと左遷されてしまいます。厳しい生活の中でも誠実さを失わず、国を想い続けた彼でしたが、わずか2年後にその生涯を閉じました。後に無実が証明され、現在は「学問・文化芸術・至誠(しせい)・厄除け」の神様として世界中から信仰を集めています。
*古代は「大宰府」、中世以降は「太宰府」と表記
なぜ「25」が大切なのか?
太宰府天満宮では「25」という数字を非常に大切にしています。
- 道真公の誕生日: 6月25日
- 道真公の命日: 2月25日
この縁により、毎月25日は特別な「月次祭(つきなみさい)」が行われ、25年ごとに大規模な「式年大祭」が執り行われます。2027年の「1125年記念 式年大祭」は、まさに一生に一度出会えるかどうかの特別な機会なのです。
なぜ道真公は「天神さま」と呼ばれるのか?その由来と伝説
菅原道真公が「天神さま」になった由来
生前、無実の罪で大宰府へと左遷された道真公ですが、自らの衣食住にも困るような境遇にあってさえも、国の平安を一心に祈られました。
そして道真公が亡くなられた後、無実は証明され、「天満大自在天神(てんまんだいじざいてんじん)」、すなわち「天神(てんじん)さま」として仰がれるようになったのです。ここ太宰府天満宮は、天神信仰の聖地として、多くの人々に今も親しまれています。
飛梅(とびうめ)伝説
道真公が京都を去る際、庭の梅に別れを惜しむ歌を詠みました。するとその梅は、主人を慕うあまり、一夜にして大宰府まで空を飛んできたといいます。御本殿横に咲く梅がこの飛梅そのものだとされており、今も境内で花を咲かせ、参拝者を魅了しています。
この飛梅は御本殿の改修中も見ることができます。
太宰府天満宮では天神さまの愛した梅を大切にしており、天満宮の紋など境内の至るところで梅のモチーフが見られます。さまざまな「梅」を探しながら境内を巡るのも楽しみのひとつです。
名物グルメ「梅ヶ枝餅(うめがえもち)」の由来
参道名物の「梅ヶ枝餅」。「梅」という名ですが、実は梅は使われておらず、梅の味もしません。
左遷され、罪人同然の扱いを受けて飢えに苦しんでいた道真公を見かねた近所の老女が、梅の枝に餅を添えて差し出したという言い伝えが由来といわれています(諸説あり)。参道や境内ではさまざまなお店でこの梅ヶ枝餅が販売されていますが、お店によって味が異なるので食べ比べが楽しめるのも魅力。16時頃には閉店や品切れしてしまうお店が多いので、早めの時間がおすすめです。
また、毎月25日は「天神さまの日」として、よもぎ入りの特別な梅ヶ枝餅が販売されます。
インタビューした神職の高山さんも、梅ヶ枝餅について「毎日食べても飽きないほどおいしい」とのこと!筆者も現地で初めてできたてを食べましたが、あまりのおいしさにびっくりしました。梅ヶ枝餅は『かさの家』のものが有名で、博多駅や福岡空港などでも販売されているのですが、太宰府で食べたおいしさが忘れられず、帰り道、博多駅に着いてからももう一度買ってしまったほどでした。
正しい参拝方法とご利益
では、実際の参拝方法について、ポイントを絞ってご紹介します。西鉄太宰府駅から参道を歩いて境内に入っていくのが正規のルートです。
1. 太鼓橋(たいこばし)で心を整える
心字池(しんじいけ)にかかる3つの橋は「過去・現在・未来」を表すといわれています。橋を渡ることで、心身を清めてから神域へ入ります。
2. 手水舎(てみずや)
楼門*をくぐる前に手と口を清め、清らかな気持ちで門へ進みます。
3. 御本殿 ※改修中
見どころがたくさんある境内ですが、到着したらまずは御本殿をお参りします。2026年1月現在、太宰府天満宮では御本殿を改修中のため、期間限定で御本殿前に設けられた特別な仮殿に参拝します。御本殿を参拝した後は回る順番に特に決まりはありませんので、自由に境内を散策したり、お守りや御朱印を求めたりなどしましょう。
4. 二礼二拍手一礼
お参りする際の作法。2回深くお辞儀をし、2回拍手を打ち、最後に1回深くお辞儀をします。
5. ご利益の捉え方
道真公が学問の神様であることから、学業成就のご利益を祈る人が多い太宰府天満宮。ですが、試験合格だけでなく、道真公のように「誠実(誠)」に努力する人を守ってくれるのが本来の天神さまのご利益とされています。
6. 買い物や食べ歩きはお参りの後で
参道や周辺には魅力的なお土産屋や飲食店が多く立ち並んでいますが、お店に行く楽しみは後にとっておいて、神様にご挨拶(参拝)を先に済ませましょう。
神職さんに聞く、エディターおすすめの境内見どころ7選
見どころ豊富な境内ですが、中でも外国人観光客に人気、あるいはおすすめのスポットについて神職の高山さんに聞きました。
1. 仮殿【2026年5月上旬までの期間限定】
やはり今の一番のおすすめは仮殿。日本の建築家・藤本壮介氏の設計で、屋根の上に本物の木々が植えられた建築は、今しか見られない奇跡の風景です。内部を彩る御帳と几帳のデザインは世界的ファッションブランドのMame Kurogouchi、音響監修を日本のロックバンド・サカナクションの山口一郎氏率いる株式会社NFが手がけるなど、文化芸術の神様としても慕われる天神さまのもとに現代のクリエーター達が集いました。
仮殿は2026年5月上旬までの期間限定で、その後は解かれますが、屋根の森は境内の森へと移植され、未来に繋がっていきます。また、その後の5月中旬頃からは、甦ったばかりの御本殿で参拝できる予定だそうです。
2. 天開稲荷社(てんかいいなりしゃ)
御本殿から10分ほど歩いた場所に位置する「天開稲荷社」は、九州最古の稲荷神社として親しまれています。階段や参道に連なる赤い鳥居は、海外からの旅行者に人気だそう。
御本殿の裏手にある階段をさらに進むと、石で囲まれた奥の院があり、静かで神秘的な雰囲気に包まれています。
ここからさらに40分ほど歩くと、竈門神社(かまどじんじゃ)にもアクセスできるそうです。
3. 11体の御神牛
境内には、11体の御神牛像が奉納されています。なぜ牛なのかというと、主に2つの理由があります。
道真公は承和12年(845)の乙丑(きのとうし)の年に生まれました。1つ目の理由は、この生まれ年にちなんでのことです。
2つ目の理由は、大宰府の地で亡くなった道真公の御遺骸を牽いていた牛が、ある場所に伏して動かなくなってしまったそうで、そこにお墓を造営したことが、御本殿の創建につながった、という言い伝えによるもの。
11体の御神牛像がすべて伏した牛であるのは、この伝説に由来するそうです。
この御神牛像は、頭を撫でると知恵を授かることができるといわれているため、参拝者からは「撫で牛」とも呼ばれています。
境内に入ってすぐのところにある像が有名で、写真撮影のための行列ができていることも多いのですが、他にも10体あるので他の場所も、ぜひ探してみてはいかがでしょうか。
4. 志賀社(しかしゃ)【重要文化財】
心字池を渡る途中、太鼓橋の横に位置する小さな社殿。室町時代の長禄2年(1458)に立てられたとされる御社殿は、境内で最も古い神社建築で、国指定重要文化財です。
海の神様である綿津見三柱神(わたつみのみはしらのかみ)をお祀りし、古くから貿易や航海安全にご利益があるとされてきました。
5. 菓祖 中島神社(かそ なかしまじんじゃ)
ユニークな神様としておすすめしていただいのが、「菓祖 中島神社」。お菓子の神様である田道間守命(たじまもりのみこと)が祀られています。
境内の授与所にはこの中島神社のお守りがあり、お菓子が描かれたかわいらしいデザインが人気を集めています。おいしいお菓子に巡り合えますように、という願いが込められているそうです。
6. 大樟・夫婦樟(おおくす・めおとぐす)
境内には樹齢1,000年を超える巨木が複数存在します。
誠心館前に立つのは、高さ28.5m幹周り11.7mの大樟。樹齢1,500年を超え、道真公の存命時からこの場所にありました。
御本殿裏手にある2本の巨木は夫婦樟と呼ばれ、国の天然記念物に指定されています。4〜5月の新緑の時期は、生命力あふれる緑が最も美しく輝きます。
7. 宝物殿・菅公歴史館(ほうもつでん・かんこうれきしかん)
もし時間に余裕があれば、「宝物殿」や「菅公歴史館」に立ち寄るのもおすすめだそう。
宝物殿は、太宰府天満宮や道真公ゆかりの文化財約1万点を所蔵・展示。近年は「太宰府天満宮アートプログラム」をはじめとする現代アートの展示も行われている場合があります。ミュージアムショップで限定品や書籍なども購入可能。
菅公歴史館では、道真公の生涯を、装束をつけた珍しい博多人形によって物語のように見られます。ストーリーを解説した他言語版の資料が受付でもらえるので、必要な場合は活用してみてください。
人気のお守り・授与品と多言語対応
太宰府天満宮で人気の授与品を紹介します。また、海外からの参拝者への配慮が充実しているのも特徴です。
多言語対応
多言語版のパンフレットと公式WEBサイトは、英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語・タイ語・フランス語の6種類が用意されています。
また、授与所の窓口には英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語の「お守り一覧表」があり、言葉が通じなくても指差しで購入できるそう。おみくじは英語版と簡体字版が用意されています。
夢守「叶糸(かないと)」 1,500円
夢の実現を願う、身に着けられるお守り。自分の夢だけではなく、大切な人の夢の実現を願う場合にもおすすめ。夢や知性を表す青い紐に小さな梅の花があしらわれています。
仕事守 1,000円
学業御守が最も有名な太宰府天満宮ですが、仕事の成功や資格試験を後押ししてくれるお守りもおすすめ。薄く、紐も付いていないので、パスケースやお財布などに入れて持ち歩きやすいのが特徴です。
菓子守 1,500円
見どころのところでもご紹介した、境内にあるお菓子の神様「中島神社」に由来する珍しいお守りです。ポップな絵柄とカラーがかわいらしく、バッグに付けていたら注目を引きそう。
伝統と革新:進化し続ける太宰府の姿
太宰府天満宮は「時代の先を見据えておられた天神さまがこの時代に生きておられたら、どうお感じになるか」ということ、そして「伝統を守るために、変わり続ける」という考え方を大切にしている、と神職の高山さんが語ってくれました。そのコンセプトを体感できる取り組みについて知っておくと、参拝する時の楽しみが広がります。
アートプログラム
1 Really shiny stuff that doesn’t mean anything, 本当にキラキラするけれど何の意味もないもの, ©Ryan Gander, 2011, Courtesy of TARO NASU, Photo by Yasushi Ichikawa ※扉は通常閉じております。また、神社の行事などにより展示されていない場合がございます。 画像提供:太宰府天満宮
「学問の神様」であるとともに「文化芸術の神様」として信仰される天神さま。2006年から、アーティストが太宰府での取材・滞在を経て制作を行う「太宰府天満宮アートプログラム」が実施されています。境内には、「境内美術館」として歴史や自然と調和したモダンなアートが点在。100年後、1,000年後にはその中の作品が文化財になっているかもしれません。
職員による「梅仕事」
境内には約200種もの梅の木があり、これらは天満宮が植えたのではなく全て一般の人々から奉納されたものだそう。そのお世話をする「梅守(うめもり)」という役職まで存在するほど大切に育てられています。
2月には美しい花が咲き誇り、参拝者の目を楽しませてくれます。そして5月中旬頃から、太宰府天満宮で奉仕する職員総出で境内にある梅の木から実を収穫・天日干しして「梅干し」を作る伝統があるそう。その年最初の梅干しは、まず初めに11月1日の「初梅献上祭」で天神さまに献上されます。そしてその後、授与所で授与され、知る人ぞ知る人気の品となっているそうです。
現代ブランドと伝統との調和
天満宮の周辺も見どころがたくさん。建築家・隈研吾氏デザインのスターバックス、日本の代表的なセレクトショップブランドであるBEAMSなどが参道にお店を構え、伝統的な街並みの中に新たな息吹を吹き込んでいます。参拝後にぜひ立ち寄ってみてください。
隈研吾氏デザインのスタバもチェック👉日本伝統の建築や文化を生かした特別なスターバックス15選
博多・天神からの主なアクセス・行き方
1. 博多駅から:「乗り換えなし」で一番楽なルート
西日本鉄道 太宰府観光バス「旅人(たびと)」
- 乗り場: 博多バスターミナル 1F(11番乗り場)
- 所要時間: 約40分
- 運賃: 700円 ※福岡空港~太宰府間は600円
- ポイント: 乗り換えの不安がなく、座って直行できるため外国人観光客に最適です。
2. 天神から:「観光列車」を楽しむルート
西日本鉄道 太宰府観光列車「旅人(たびと)」
- ルート: 西鉄福岡(天神)駅 →(急行)→ 西鉄二日市駅(乗り換え)→ 太宰府駅
- 所要時間:約35分
- 運賃:420円~
- ポイント: 観光列車「旅人」に乗れば、和の雰囲気あふれる車内や、車窓の風景を楽しめます。
今、太宰府天満宮を訪れるべき理由
取材の中で印象的だったのが、「太宰府天満宮は『今を生きている神社』」と神職の高山さんがおっしゃっていたこと。過去の栄光を維持するのではなく、1100年の歴史を大切に守りながら、現代のアートや建築を取り入れ、常に人々を驚かせ、癒やし続ける太宰府天満宮が、今なお人々を魅了し続ける理由がよく分かりました。
2027年の式年大祭に向けた「今だけの風景」と、神職の方々が大切に育む「誠の心」に触れる旅。次の福岡観光では、ぜひ清らかな空気の中で、天神さまの物語を感じてみてください。
太宰府天満宮
住所:福岡県太宰府市宰府4-7-1
アクセス:太宰府駅から徒歩5分
参拝時間:【開門】「春分の日」より6:00、「秋分の日」より6:30【閉門】4〜5月・9〜11月19:00、6〜8月19:30、12〜3月18:30
定休日:なし
料金:参拝無料 ※施設によって観覧料などが必要な場合あり
HP: https://www.dazaifutenmangu.or.jp/
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