日本代表・松山恭助選手×XRフェンシング体験レポ|初心者でも分かる観戦入門

近年の国際大会での活躍により一躍注目を集める日本のフェンシングですが、ルールや観戦のポイントが分からないという人も多いかもしれません。

今回、JTBとキヤノンが共同で開催する「XRフェンシング」では、国際大会で優勝経験のある松山恭助選手の華麗な技をデジタル化。MR(複合現実)デバイスを通じて、まるで目の前で試合が繰り広げられているかのような臨場感を体験できるというものです。

フェンシングの魅力や新たな観戦の可能性について、実際に体験して取材してきました。

なぜ今、フェンシング?

※画像はイメージ

史上最強と呼び声の高い日本のフェンシングですが、競技人口は圧倒的に少なく7000人台というマイナー競技。観戦したことすらないという人も多いのが現実です。ルールが分からない、勝った瞬間が分かりにくい、剣先が見えない…未経験者にはなかなかハードルが高いように感じます。実はこれらを解決してくれるのが「XR」。フェンシングのおもしろさをリアルに体感できる――観戦初心者にこそ、XRフェンシングがおすすめなのです。

XRフェンシングとは?

「XR」とは、現実世界とデジタルな仮想世界を融合させる革新的な技術(AR/VR/MR)の総称です。今回開催された「XRフェンシング」では松山恭助選手によるフェンシング競技を実際に体感!MRデバイスを通じて現実とCGを高精度に融合させることで、肉眼では捉えきれないスピード感あふれる剣の動きや技の応酬を、スロー再生や視点の切り替えを通じてじっくりと観察・体感できます。技が決まった瞬間や剣先が当たった判定など攻撃の流れが見てすぐ分かるので初心者でも直感的に楽しめちゃうのです。

フェンシング超入門

そもそもフェンシングとはどんなスポーツなのでしょうか?基本をおさらいしてみましょう。

フェンシングは剣で戦う競技です。長さ14mの細長い試合場(ピスト)でフェンサーと呼ばれる選手が1対1で向かい合い細くしなる剣を交えます。剣は断面やしなり具合が異なる「フルーレ」「エペ」「サーブル」の3種類。剣の形状や得点となる有効面の違いで種目が分かれます。個人戦と団体戦があり、個人戦は3分3セットで15点先取、1チーム3人の団体戦は総当たり戦。3分9セット(45点先取)でポイントを競います。

種目の違い(フルーレ/エペ/サーブル)早見表

種目剣の形状と特徴有効面(得点となる部分)攻撃方法優先権の有無競技のスタイルと見どころ
フルーレ(Fleuret) 全長110cm以下、重さ500g以下の軽くて細い剣。剣先のみで得点  頭と四肢を除いた胴体部分マスク下部(布箇所)突きのみ  あり。 先に攻撃を仕掛けた選手に「優先権」があり、相手の剣を払うなどして優先権を奪う駆け引きが重要 攻防の華麗な「剣さばき」が見どころ。優先権をめぐる緻密な戦略とスピーディーな試合展開が特徴
エペ(Épée) 全長110cm以下、重さ770g以下の3種目の中で最も重い剣。剣先のみで得点 全身すべて   突きのみなし。 「先に突いた者勝ち」というシンプルかつ明快なルール。両者が同時に突いた場合は双方に得点が入る中世の決闘がルーツと言われる最もシンプルで分かりやすいルール。一瞬の隙を突く駆け引きや、カウンター攻撃が魅力
サーブル(Sabre) 全長105cm以下、重さ500g以下の平たい剣頭部を含む上半身(腰から上) 

突き、および斬り

あり。 フルーレと同様に優先権があり、攻撃と防御の切り替えが非常にスピーディー 突きと斬り(剣の側面や先端で切る動作)の両方が可能。試合開始直後から激しい攻防が繰り広げられる、最もスピーディーでダイナミックな種目

ルールの核心:有効面・得点・攻撃権

上から、サーブル、フルーレ、エペ

フルーレは胴体のみ、エぺは頭からつま先まで体中どこでも、サーブルは上半身のみと種目ごとに有効面が異なります。フルーレとエペは突きのみですが、サーブルは「斬り(カット)と突き」が有効。有効面を突くと色ランプが点灯し、突いた選手に得点が入ります。フルーレとサーブルには「優先権」があり、これは先に腕を伸ばして剣先を相手に向けた選手に与えられるもの。両者同時に有効面を突いた場合、優先権を持つ側にポイントが入ります。ただし攻撃を防がれた場合は優先権が相手に移るので注意。エペには優先権がなく、両者同時の場合は双方にポイントが入ります。

初観戦の見どころ:リズム、先手、間合いの駆け引き

フルーレは巧みな剣さばきの応酬でポイントを競います。攻撃~防御~反撃~再反撃といった瞬時の技と動作の応酬(剣のやりとり)が最大の魅力。優先権の取り合いや防御して交わす駆け引きも醍醐味です。エペはフルーレ同様、剣の突きで得点しますが、得点の対象は全身。全身が有効面という中、1/25秒差以内の素早い突きが要求されるため、試合中は両選手の張り詰めた気迫が感じられます。スピーディかつ変化に富んだ試合展開が見どころ。フルーレとエペが「突き」だけの種目であるのに対し、サーブルには「突き」に加えて唯一「斬り(カット)」が加わるため、、よりダイナミックな攻防が見られるのが特徴です。

観戦・視聴の始め方

実際に試合を生で見てみたい!という人は今年11月・12月に開催予定の第78回全日本フェンシング選手権大会がおすすめです。国内で開催される最大の大会となり、フルーレ・エペ・サーブルの3種目で団体戦(11/21~23むつマエダアリーナ)・個人戦(12/26~28東京港区スポーツセンター)を開催。男女ともに強豪たちの熱い戦いが繰り広げられます。また全日本選手権の模様は一部、「公益社団法人日本フェンシング協会」の公式YouTubeでライブ配信も予定。こちらでは過去に行われたワールドカップなど日本国内で開催された大会の試合も動画で見ることができます。

👀『公益社団法人日本フェンシング協会』のYouTubeチャンネル

もっとフェンシングについて知りたい!と興味を持った人は「公益社団法人日本フェンシング協会」のサイトへ。その他の地域での試合情報や各選手の国内ランキングなどの情報が掲載されています。

👉公益社団法人 日本フェンシング協会 公式サイト(日本語・英語)

XRフェンシング体験レポート

いよいよ「XRフェンシング」の初体験へ!所要時間は3分ほどで4人同時に体験が可能。受付を済ませたら早速席へ案内されました。MRデバイス=専用ゴーグルを両手で持って、現れる3D映像を楽しみます。

イベントでは専用ゴーグルで見ている画像を近くのモニターにも投影

ドキドキしながらスタートを待っていると、手元にある小さなテーブル上にミニチュアサイズの松山恭助選手と対戦相手が登場!立体感があり本物さながらです。試合開始前に映像を通して、フェンシングの種目の違いや簡単なルールも説明してくれます。

さらに目線をテーブルから広い空間へ移すと、等身大の選手の姿を見ることも可能です。まるで目の前で試合が繰り広げられているかのような臨場感!手を伸ばせば届きそう。技の軌道がデジタル化されるので、肉眼ではとらえきれない動きや技の迫力を見ることができます。何といっても通常ではあり得ない、あらゆる角度からスローモーションでじっくり観察できるのが初心者にはありがたい!

有効面に華麗な剣さばきで突きが決まって見事、松山選手の勝利!であっという間の3分間。華麗な技の数々に、思わず試合の世界観に入り込んでしまいました。

フェンシング・松山恭助選手に聞く、XRフェンシングの可能性

フェンシング 松山恭助選手

今までにない、この不思議なスポーツ体験。これを実現したのがキヤノン提供の最先端技術・MR(複合現実)システム「MREAL(エムリアル)」です。実際にこの「XRフェンシング」事例に参加した松山恭助選手はどう感じたのか、お聞きしました。

「XRフェンシング」を体験してみての感想は?

「まずは360度、試合中の自分を見る経験がなかったので、とても新鮮でした。XRを活用することで臨場感あふれるフェンシングの試合を、間近で楽しむことが可能になります。通常の映像とは違って、リアルな距離感と試合の雰囲気が味わえて選手と同じ目線で、その場にいるかのような感覚になれます。さらにフェンシング未経験の方であっても、技の軌道や有効面の突きの瞬間が、ぱっと見て分かるのでフェンシングのおもしろさや魅力が伝わりやすいのもいいなと思いました。」

「XRフェンシング」の可能性と期待について

「フェンシングはまだまだ競技人口の少ないマイナースポーツです。フェンシングとはこういうものなんだ、おもしろい!というのを「XRフェンシング」を通して、リアルに体感してもらうこと。この体験こそが貴重で将来、フェンシングに挑戦してみようと思う子ども達へのアプローチにも繋がるのではと思います。」

選手の目線でフェンシングの試合を観戦できるなんて、なかなかない体験です…!「XRフェンシング」は競技のおもしろさや認知度を高めて、結果として競技人口を増やす役割を果たす可能性を秘めています。さらに未来の観戦スタイルとしても期待が高まりますね。

XRでこれからの体験や旅が変わるかも!?

XRは、今後フェンシングに留まらず新しいスポーツ体験への活用が検討されており、スポーツ観戦スタイルの未来も広がりそうです!JTBとキヤノンの共創で生まれた今回の体験、一般的な実用化はもう少し先とのことですが、XR技術を活用した新たな観光体験の創出やスポーツツーリズムの発展を目指しているそうで、今後の展開が楽しみです。

今すぐ行ける“XRで理解が深まる”体験

最後に、XRを活用したアトラクションなどのコンテンツをご紹介します。

XRシアター&カフェ JapaDive Osaka

VRゴーグルを使用し、日本の伝統芸能やポップカルチャーをリアルに体感できるエンターテインメント施設。上映時間約15分で、能や狂言などの伝統芸能やバーチャルアーティストのポップカルチャーを体験することができます。1ドリンクとお茶菓子付き。

XRシアター&カフェ JapaDive Osaka

  • 住所:大阪市中央区道頓堀1-7-21中座くいだおれビル5F
  • アクセス:大阪メトロ御堂筋線・四つ橋線・千日前線「なんば駅」より徒歩4分
  • 営業時間:12時~17時※体験時間25分(各15分+休憩10分)
  • 定休日:なし
  • 料金:3000円~※座席種別により異なる※完全入場制
  • 公式サイトはこちら

👉XRシアター&カフェ JapaDive Osakaを予約する

The XR RIDE - The Magic Words 'OSAKA-BEN' Bus Tour- ※2025年10月29日(水)まで

出典:PR TIMES

最新鋭のXRを活用した話題のバスツアー。正面・天井・左右の窓がディスプレイで囲まれ、実際の車窓風景にAR映像を重ね、臨場感あふれる体験が可能に。約40分間で大阪の名所を巡りながら、AIキャラクターと人間ガイドとともに大阪弁を学ぶユニークな体験も楽しみです。

2025年10月29日(水)までの期間限定です。

The XR RIDE - The Magic Words 'OSAKA-BEN' Bus Tour-

  • 住所:大阪府大阪府大阪市北区大深町5-27 うめきたグリーンプレイスバス駐車場
  • アクセス:大阪駅から徒歩5分
  • 運行ルート:JR大阪・大阪梅田駅駅周辺→中之島エリア→大阪城エリア→JR大阪・大阪梅田駅周辺
  • 営業時間:11:00~18:00※〜2025年10月29日(水)約60分
  • 定休日:営業はツアー開催日のみ
  • 料金:6,500円
  • 公式サイトはこちら

RED° TOKYO TOWER

東京タワーのふもとに誕生した、新感覚の遊び場「RED° TOKYO TOWER」。特に人気を集めているのがロボットを装着して戦う新感覚スポーツ「ロボットファイト」と、360°回る絶叫VRライド「フライングシネマ」のアトラクション。身体を動かして楽しめる、異次元のエンタメ体験を。

RED° TOKYO TOWER

  • 住所:東京都港区芝公園4-2-8 TOKYO TOWERフットタウン内3F
  • アクセス:東赤羽橋駅から徒歩5分
  • 営業時間:10:00~22:00(最終入場21:00)※日によって異なる
  • 定休日:不定
  • 料金:1日パスポート【平日】大人4,400円、高校生3,600円(16~18歳)、小中学生2,200円(6歳~15歳) ※日によって変動あり
  • 公式サイトはこちら

RED° TOKYO TOWERを予約する

👉1日パスポートを予約する(kkday)

👉1日パスポートorナイトパスポートを予約する(じゃらん)

東京国立博物館 ミュージアムシアター

VRによる作品を鑑賞できるミュージアムシアターが人気。超高精細4K映像を映しだす迫力の大スクリーンは、文化財の姿をあざやかに映し出します。かつての姿の再現や、まるで実物に触れられるかのような空間をたっぷりと。2025年9月23日(火・祝)から12月21日(日)まで はVR作品「興福寺 国宝 阿修羅像」を公開。

東京国立博物館

  • 住所:東京都台東区上野公園13-9
  • アクセス:JR上野駅から徒歩10分
  • 営業時間:9:30~17:00※毎週金・土、および翌月曜日が祝・休日の場合の日曜日は~20:00
  • 定休日:月、12/16、年末年始
  • 料金:【入館料】大人1,000円、大学生500円※ミュージアムシアター別途高校生以上600円、小中学生300円
  • 公式サイトはこちら

👉東京|国立博物館ガイド&上野エリアの歴史解説のツアーを申し込む

XRによって、私達の旅や娯楽、そしてスポーツ観戦やスポーツ指導までも大きく変化していくかもしれません。今回取材したXRフェンシング体験は単発イベントでしたが、今後も同様のイベントなどの機会があれば、ぜひ参加して“未来”を体感してみてくださいね!

目次

Recommend