ポケベルは、スマホのない時代に一世を風靡した通信機器。数字だけで気持ちを伝えなければならないため、「おはよう=084」といった暗号のような読み方が誕生しました。その独特な使い方は、当時を知る人々にとって懐かしく、今なお語り継がれています。本記事では、そんなポケベルの使い方や文化、ポケベル世代のリアルエピソードを徹底紹介!ポケベルの魅力をあらためて紐解いていきましょう。
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ポケベルとは?

ポケベルはアメリカ発の通信機器です。正式名称は「ポケットベル」といい、英語では「ページャー」と呼ばれます。
その仕組みは、電話回線を使って数字の信号を送り、持ち主に通知が届くというもの。送信側は公衆電話などから特定の番号を入力し、受信側は小型端末でその数字を確認します。初期は数字のみの送信だったため、利用者たちは語呂合わせなどの工夫でメッセージを伝えていました。このシンプルながら遊び心のあるシステムが、多くの人々の心をつかんだ要因の一つといえるでしょう。
なぜ流行った?ポケベル文化が巻き起こした社会現象
続いては、ポケベルの誕生から日本への普及、若者に親しまれるようになった要因について、当時の社会背景を交えて紹介します。
ポケベルの誕生と日本への導入

ポケベルは1950年代にアメリカで誕生し、緊急連絡用として医療やビジネス分野で利用されていました。日本には1970年代に導入され、1990年代に入ると一般向けに大きく普及します。
なかでも注目すべきは、日本独自のポケベル文化です。特に女子高生を中心とした若者たちが、語呂合わせや暗号を駆使して自由にメッセージをやり取りするようになり、「ポケベル世代」という言葉が生まれるほどの社会現象となりました。こうしたポケベルと若者との結びつきは世界的に見ても珍しく、日本ならではのポケベルブームといえるでしょう。
なぜポケベル文化が流行したのか
ポケベルが若者の間で大流行した理由の一つに、「こっそり伝えられる便利さ」が挙げられます。電話では言いづらいメッセージも、数字の暗号で伝えることができる—そんな魅力が若年層への普及を後押ししたのではないでしょうか。
また、当時は公衆電話が街中に設置されていたため、いつでもどこでもメッセージを送れるポケベルは使い勝手抜群。そこに語呂合わせの暗号を解読し合うユニークな要素が加わり、文化として定着していったのでしょう。
ポケベル世代とは?
ポケベル世代は、主に1990年代にポケベルを使っていた10代〜20代前半の若者たち(現在40代〜50歳前後の人々)を指します。SNSもスマホもない時代、当時の若者は数字に思いを込め、限られた手段のなかでコミュニケーションを楽しんでいました。
ポケベル世代の特徴は、語呂合わせに強く、暗号を読み解く能力に長けていること。自由にテキストでメッセージを送れるようになった現代だからこそ、数字のみでコミュニケーションを図るポケベルが思い出深く、当時の記憶として強く残るのかもしれません。
ポケベル暗号と数字の意味

数字だけで「愛してる」「おやすみ」などの気持ちを伝え合ったポケベル世代。どんな数字がどんな意味を持ち、どんなふうに解読されていたのでしょうか。ここからは、ポケベルで用いられていた代表的なポケベル暗号を紹介します。
ポケベル暗号の仕組みと基本ルール
ポケベル暗号とは、数字の語呂合わせや変換ルールを用いてメッセージを伝える方法です。たとえば「084」は「おはよう」、「14106」は「愛してる」という具合に、数字の音読や並びを工夫して意味を持たせていました。また後期になると「*2*2」などの操作で、文字を直接打ち込む機能も登場。こうした工夫と発想をきっかけに、単なる通信機器から文化的なツールへと発展していったのです。
ポケベル暗号の一例! 数字とメッセージ一覧表で丸わかり
実際に使われていたポケベル暗号の一例です。数字だけで感情やメッセージを伝える工夫が詰まっています。
入力数字 | メッセージ |
0840 | おはよう |
4649 | よろしく |
39 | サンキュー |
14106 | 愛してる |
0833 | おやすみ |
8181 | バイバイ |
724106 | なにしてる? |
49106841 | 至急TEL(電話)欲しい |
104510 | いま仕事 |
こうしたポケベル暗号は友達同士や恋人とのやりとりに活用され、暗号を知っている人だけが意味を理解できる秘密のメッセージとして人気を集めました。
ポケベル世代のリアルエピソード
ここからは、当時リアルタイムでポケベルを使っていたFUN! JAPANスタッフ5名の思い出エピソードを紹介します。ポケベル世代の方はぜひ、あの頃の自分に思いを馳せてみてください。
Yさん

大学入学後、19歳で初めてポケベルを手にしました。一番多くの人が使っていたグレーの定番機種で、「084(おはよう)」や「361(寒い)」などの暗号はよく使っていましたね。当時は公衆電話が街中にあり、よく並んだのを覚えています。ボタンを素早く押すのが得意だったので、その技術は今もテンキーや計算機の操作に活きているかもしれません。ただ、その後にPHSが出て絵文字が使えるようになったのですぐ変えました。
Hさん

飲み会の後、「114106(愛してる)」と打ち込んで送り、次に会ったときや電話したときに、つい「ごめんごめん、お礼を言おうとしたんだけど、手が勝手に……本音が出ちゃったのかな。気にしないでね」なんてやりとりをしたことを思い出しました(笑)。暗号は一つズレると何を書いているかまったくわからなくなるのですが、この謎解きは得意な方で、割と正しい文章を導き出していました。結構ヒーローだったと思います。
ポケベル以前は、駅の黒板にメッセージを残すようなもっと不便な時代でした。逆に今はどこまでも追いかけられてしまう、ある意味便利すぎる時代。その真ん中にあったちょうどいい時代が、ポケベルだったのかもしれません。
Tさん

小学5〜6年生の頃、身のまわりでポケベルを持っているのはごく一部の子だけでした。地主の子や、豪邸に住む子、あるいはちょっとワルそうな雰囲気の関係者の子など……まさに特別な存在で、周囲からは羨望の眼差しを浴びていたのを覚えています。
同じ時期、お金持ちで頭のいい子たちは、なぜかトランシーバーやモールス信号機なんかを持ち歩いていたりもしましたね。今思えば、すごい文明変化の時代だったんだなと感じます。
Oさん

高校1~2年生の頃(1997~8年くらい?)がポケベル全盛期でした。当時は「どれだけ速く打てるか」というようなマウントの取り方がうっすらあったように思います。駅の公衆電話で「タタタタタ」とやるのがステータスみたいな(私も結構速かったです)。この方式に慣れていた人達はスマホのフリック入力も割と早く馴染んだのではないでしょうか。
あとは、当時は「メル友」が流行りました。適当にポケベルの番号を打ってランダムにメッセージを送り、返事が返ってきてやりとりが始まったらそれが「メル友」です。女友達に男性のメル友がいて、その人がウザいみたいな話を聞いていたので、ある時、私が悪ふざけしてその男性になりすまして友達にメッセージし、友達をめちゃくちゃ怒らせたこともありました。
Tさん

自宅の電話からメッセージを送るので、今考えると「電話した方が早かったのでは?」と思いますが、遅い時間だったり、友達のご両親が電話にでると気まずいといった理由で、ちょっとしたメッセージを送信できることがメリットだったと思います。文字数が限られるので、待ち合わせ場所や時間の連絡に便利でした。
リバイバルブームで「令和版ポケベル」もある?!
PHSの普及に伴い、徐々に姿を消したポケベル。しかし、昨今のリバイバルブームに伴い、レトロガジェットとして今再注目されているんです。
セガ「emojam」について

現代版ポケベルとして注目されているのが、セガから登場した「emojam(エモジャム)」。レトロ感あふれるミニ端末で、数字やアイコン、スタンプ風メッセージを送信できます。
Bluetoothでスマホと接続し、チャットのように楽しめるのがポイント。新しいのにどこか懐かしい、そんなノスタルジックな体験を味わえる、「令和版ポケベル」の呼び名に相応しいガジェットです。
当時を知る方には懐かしく、知らない世代には新鮮に映るポケベル文化。ぜひこの機会に、その魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
- 公式サイト:こちら
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