日本の観光地でクマに遭遇したら?出没エリアと対策ガイド【クマがいない県も紹介】

近年、日本でクマによる被害が増えています。山間部だけでなく、キャンプ場やハイキングコース、さらには人里近くの観光地でもクマの出没がニュースとなり、「旅先でクマに遭遇したらどうしよう」という不安を感じている人もいるでしょう。

一方で「クマがいない県」も注目を集めています。

この記事は、そんな観光客の不安を解消するために作られた日本旅行のためのクマ対策完全ガイドです。

日本におけるクマの出没エリアなどの情報に加え、クマに遭遇しないためにはどうすればいいのか、クマよけスプレーなどのアイテムの使い方、そして万が一遭遇した際の「命を守る正しい行動」についてわかりやすく解説します。

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なぜ急増?日本におけるクマ被害の背景:生息分布域の拡大

日本地図

日本でクマの出没や被害の報道が増えているのはなぜでしょうか。単に「クマが増えた」というだけでなく、クマの行動範囲自体が広がり、人間の生活圏と接触する機会が増えたことが大きな原因です

【政府のデータ】全国的なクマの分布域の拡大

クマ被害の増加を受けて、日本政府は2024年より「クマ被害対策等に関する関係省庁連絡会議」を実施し、対策を強化しています。

その報告書によると、日本に生存するクマは広範囲で分布域が拡大していることが指摘されています。2003年度から2018年度の15年間でツキノワグマの分布域は約1.4倍に、ヒグマも約1.3倍に広がりました。

クマの分布域拡大の根本原因:日本の社会構造の変化

クマの分布域が拡大した背景には、人口減少や高齢化といった日本の社会構造の変化があります。これにより、クマの生態系が大きく変化し、人間の生活圏とクマの生息環境が混ざり合ってしまいました。

人への警戒心低下

林業や狩猟、里山利用の減少など、人間活動が低下したことにより、クマが人間の生活圏に近づいても安全だと学習し、人への警戒心が薄れた。

生息環境の適地化

耕作放棄地の拡大や、放置された果樹の増加により、人の生活圏周辺がクマにとって餌が豊富で隠れやすい生息に適した環境へと変化した。

「クマに遭遇しないために」知っておきたい4つのポイント

クマ

クマ被害に合わないために最も重要なのは「クマに遭遇しないこと」。クマは本来、人間を避ける動物ですが、適切な対策を知らないと不意の遭遇を招き、危険な状況に繋がります。

ポイント1:クマの生態や行動を知る

日本に生息するクマは主に「ヒグマ」と「ツキノワグマ」の2種類です。観光地での遭遇リスクや危険度は、種類によって大きく異なります。

日本に生息するクマは「ヒグマ」と「ツキノワグマ」の2種類

  • ヒグマ:日本の陸上動物で最大種(200~400kg)。力が強く、遭遇した場合の危険度は極めて高い。主な生息地は北海道。
  • ツキノワグマ:体重は50~100kg程度。ヒグマより臆病だが、人慣れした個体や子連れのメスは特に危険。近年被害が急増中。主な生息地は本州、九州。

クマの活動が活発になる時期と時間帯

クマとの遭遇リスクが高まる時期や時間帯は特に注意が必要です。

  • 活発な時期:春先(4月〜6月)は冬眠明けで空腹。餌を求めて行動範囲が広がりやすい傾向があります。また、秋(9月〜11月)は 冬眠に備えた栄養補給のため、食料を探す切迫感から行 動範囲が広がります。冬につれて報道が増えるのはこの影響です。
  • 活発な時間帯:人目を避けて行動するため、日の出直後や日没前が最も活発になります。この時間帯の山林・ハイキングは極力避けましょう。

ポイント2:クマの出没情報をチェックする

観光地の周辺でクマの出没情報があるかどうかを事前に確認することは、最も手軽で重要な予防対策です。

ウェブサイトで確認

各都道府県や市町村のウェブサイトでは、最新の出没マップや注意喚起情報が公開されています。旅行の計画を立てる際は、日本語で「〇〇県 クマ 出没情報」などと検索 し、直近の目撃情報や注意報が出ていないか確認してください。

現地の看板・掲示板を必ずチェック

登山口、ハイキングコースの入り口、キャンプ場など、自然のエリアに入る手前には必ず注意喚起の看板や張り紙があります。この現地の情報は最も新しいため、見落とさずに確認してください。もし「警報」や「注意報」が出ていたら、行程の変更やキャンセルを真剣に検討しましょう。

ポイント3:クマに人間がいることを知らせる

人間が苦手なクマにとって、人間との不意の遭遇はクマ側も驚くこと。私たち人間からその存在を音で知らせてあげることも予防策となります。熊鈴(クマ鈴)を身に着けて、常に音を鳴らしながら歩くほか、「おしゃべり」も有効。自分たちの存在を積極的にアピールしてください。

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ポイント4:クマの隠れ場所に注意する

クマとの遭遇は、クマが潜んでいる場所やクマが餌を求めて現れる場所に不用意に近づくことで発生します。

見通しの悪い深い藪や茂み、水音で音がかき消される沢沿いや水辺は細心の注意を払いましょう。集落や里山近くでは、放置された柿や栗などの果樹がクマの餌場になっていることがあります。これらの木の周辺にも近づかないでください。

また、クマは食べ物の匂いに極めて敏感です。キャンプ場や休憩エリアでは、生ゴミや食べ残しを放置しないよう気を付けましょう。

「もしもクマと遭遇したら」命を守る4つのポイント

クマ

万が一、クマと遭遇したら、あなたはどうしますか?実は最も危険なのは「パニックになり、走って逃げること」。被害を最小限にするべく冷静に行動しましょう。

ポイント1:クマを刺激しない

クマと遭遇したときに絶対にしてはいけない行動は、走って逃げること、そして大声を出したりして刺激しないことです。クマは素早く動くものに反応するため、走って追いかけてくるかもしれません。大声はただでさえ驚いているクマをさらに驚かせ、防衛の攻撃に移らせる可能性があります。クマの様子を見ながら、静かにゆっくりとその場を離れましょう。

ポイント2:実は「穏やかに話しかける」ことが有効

大声をあげることはNGですが、「穏やかに話しかけること」は推奨されています。クマがこちらに近づいてくるとき、人間だとわかっていない場合もあります。ゆっくり両手をあげて振りながら穏やかに話しかけ、自分が人間だということをアピールしましょう。

ポイント3:熊よけスプレーで撃退

遭遇時に逃げられず、クマが攻撃を仕掛けてきたとき、熊よけスプレー(クマ撃退スプレー)を持っていたら迷わず使ってください。

クマとの距離が3~4mまで近づいたらクマの目と鼻をめがけて迷わず噴射します。落ち着いて使用できるように、事前に使い方を確認しておきましょう。

ちなみに熊よけスプレーをレンタルできる場所も増えているようです。

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ポイント4:最終手段:襲われた場合の「防御姿勢」

防御姿勢

クマの攻撃が避けられない状況になったときは、最終手段として防御姿勢をとります。うつ伏せとなって顔と腹部を守り、首の後ろは手を回して保護をします。

【最新】クマ の出没エリアと最新の警戒情報

2025年11月現在、被害が最も多いのは東北エリアですが、全国的にクマの出没情報が増え続けている状態です。

また、車の運転中も油断はできません。走行中にクマと接触事故を起こすケースも発生しています。筆者の友人は高速道路を走行中に飛び出してきたクマと接触事故を起こしました。幸いケガはありませんでしたが、車は壊れてしまったそう。

エリアを問わず、必ず旅行先の県のホームページを確認し、最新の情報を入手することが重要です 。

注目を集める「クマがいない県」:千葉、九州、沖縄

クマの報道が増える一方、「クマがいない県」、通称「クマなし県」にも注目が集まっています。クマなし県とはその名の通り、ヒグマやツキノワグマの生息が確認されていない、または絶滅したとされている地域を指します。現在クマがいないとされるのは、千葉と九州、沖縄エリアです。

千葉県と沖縄県は生息・目撃情報がなく、九州は2012年にツキノワグマの絶滅宣言が出されました 。これらのエリアは、クマの遭遇リスクを心配することなく観光を楽しめる地域として注目されています。

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クマの対策を知って日本の観光を安全に楽しもう

観光

日本でクマの被害が急増した背景から、遭遇を避けるための予防対策、万が一遭遇した際の行動原則までを解説しました。

正しい知識と準備があれば、安心して日本の豊かな自然を楽しむことができます。どうしても心配だという方は、リスクのない「クマがいない県」を旅行先に選んでもいいでしょう。この記事の情報を活用し、安全な日本観光を実現してください。

<参考>
クマに関する各種情報・取組(環境省)
ヒグマ対処法(知床財団)

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