日本の伝統的な万能布「風呂敷」ガイド~エコバッグとして注目の風呂敷の包み方・サイズ・柄・素材別の用途から買える場所までご紹介~

風呂敷

日本人にとってもどこか古風なイメージのある「風呂敷」ですが、実は軽くて小さくたためる上に、エコバッグやおしゃれなラッピング材として再注目されています。ただの四角い布にしか見えない風呂敷は歴史と伝統のある道具。使い方を工夫すると生活を便利にしてくれる万能布です。この記事では、風呂敷の名前の由来や豆知識から、サイズ・素材別の選び方、そしてどこで購入できるかなどご紹介します。

※記事で紹介した商品を購入したり予約をしたりすると、売上の一部がFUN! JAPANに還元されることがあります。

風呂敷とは?1枚の布が「包む・運ぶ・飾る」に変身する日本の伝統美

風呂敷とは?

風呂敷とは?何に使うもの?

風呂敷は1955~1964年頃までは、着物や布団を包んで袋のように結んだり、物を運んだりするために欠かせない生活道具でした。日本のどの家庭にも20枚ほど常備されていたようです。現代では紙袋やかばんを使うことが主流となり、風呂敷に馴染みがないため、どのように使ったらよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。

風呂敷 お弁当包み

実はお弁当箱を包む布も、サイズは小さいながら立派な風呂敷です。現在はお弁当専用のバッグや巾着が主流ですが、お弁当箱を風呂敷で包むことには多くの利点があります。 

  • お弁当を傾けることなく水平な状態のまま運べる。
  • 布でしっかりと包むため蓋が開くのを防げる。
  • お弁当箱を傷から守ることができる。
  • 結びをほどいた後、ランチョンマットの代わりになる。
  • 汚れた際には布巾として使える。
  • 「包む」という行為を通じて、お弁当(食べ物)を大切にする気持ちが込められ、きれいな布で包むことでお弁当の時間がより楽しみになる。

お弁当の包み以外にも風呂敷には多くの活用法があります。

風呂敷 ラッピング
  • バッグとして:結び方次第でさまざまなバッグに変身するため使い方は無限大。
  • ラッピングとして:紙の包装紙は破れやすいですが、布なので破れる心配がなく、ゴミも出ません。リボンやテープなどの装飾が不要なため、さらに環境に優しいラッピングが可能です。
  • 荷物を運ぶ・収納する:布団や衣類などを運ぶ際に、大きな段ボールや衣装ケースが不要です。収納時にも活用できます。
  • ランチョンマットやテーブルクロスとして:敷くだけでおしゃれな空間が作れます。アウトドアでの使用もおすすめです。
  • インテリアとして:ソファーやクッションカバーのほか、壁掛けとしての活用もおすすめ。特に和風柄の風呂敷を額に入れて飾ると素敵なインテリアに変わります。壁掛けにして室内のインテリアとして活用しているFUN! JAPANスタッフもいます。
  • スカーフやストールとして:寒い時には膝にかけたり首に巻いたりできます。アウトドアや旅先におすすめのアイテムです。

筆者は、リバーシブルタイプの和柄の風呂敷を愛用しています。旅行の際にスーツケースの中の衣類をまとめるために使用していますが、衣類の大きさによって包み方を変えられるため、衣類がしわになりにくく通気性がよい点が気に入っています。リバーシブルタイプなので気分によって柄を変えて包める点も、旅先での疲れを癒してくれるアイテムです。

なぜ今再注目?エコバッグ・お土産としての魅力

風呂敷 カバン

何度でも使えて、いろいろなものを包める風呂敷は、エコロジーの観点でも近年注目を集めています。ゴミにならず、軽くて小さくたためるので持ち運びにも便利。そのため、訪日の際のお土産として、また購入したお土産を包んでそのまま風呂敷もプレゼントするという使い方もおすすめです。多彩なデザイン(色彩豊かな柄、和風柄、モダン柄)や布の種類の中から自身の好みに合う一枚を選ぶ楽しさもあります。

知っておきたい風呂敷の文化と歴史

名前の由来

風呂敷のような布が使われるようになったのは1200年以上前に遡ります。風呂敷という名前が定着したのは室町時代(1338年~1573年)からで、将軍・足利義光が大湯殿(おおゆどの)*1を建てた際、大名たちが脱いだ着物を包んだり、風呂上がりに座って身づくろいをする際に布を使いました。このお風呂に敷く布が転じて、物を包む布も「風呂敷」という名前で呼ばれるようになったと言われています。その名の通り、風呂に敷くことから「風呂敷」となったのです。

江戸時代になると庶民の間でも銭湯を楽しむようになり、お風呂で使う道具を風呂敷で包み銭湯へ通いました。自分のものだとわかるように風呂敷に家紋を入れる習慣も生まれました。

*1 大湯殿:蒸し風呂の一種。現代のサウナに近いもの。

豆知識

日本語には、「風呂敷」の言葉を用いた慣用句もあります。

「大風呂敷を広げる」は「実現しそうにない大げさな計画を立てること」や、「小さなことを大げさに話すこと」という意味を持つ日本の慣用句です。この言葉の語源は、江戸時代から商売の道具として使われていた風呂敷と関係しています。昔、商売に失敗して貧しくなった商人が、資金を借りようとした際、誰も信用してくれませんでした。そこでこの商人は、無理をして大きな風呂敷(大風呂敷)を作り、それを人々に配って見栄を張ったところ、信用を得てお金を借りることができました。この話から、「実力以上に大げさな振る舞いをすること」を「大風呂敷を広げる」という表現がされるようになったと伝えられています。

風呂敷 唐草模様

ちなみに、風呂敷といえば、江戸時代の時代劇で唐草模様の風呂敷を背負う泥棒をイメージする人もいるのではないでしょうか?唐草模様は長寿や延命、子孫繁栄をあらわすとても縁起の良い模様のため、当時人気の柄で大量生産されました。そのため、「風呂敷と言えば唐草模様」という一般的なイメージが定着し、「みんなが使っている」ということから泥棒も怪しまれずに使えたのではないか?という世相が面白おかしく伝わった結果と考えられます。

また、裁判を行う弁護士や検察官のような職業の人々が、かつて風呂敷をよく使っていたことをご存じですか?風呂敷で荷物を運ぶことは昔ながらの伝統でした。その理由は六法全書のような分厚い法律書をはじめ、大量の資料などの荷物が多かったから。カバンに入りきらない上、カバンを使うとさらに重くなってしまうという問題点を、形や量に関係なく包むことができ、軽くてかさばらない風呂敷が解決してくれたのです。さらに、裁判所に資料を提出した後、風呂敷はたたんでポケットなどにしまい、手ぶらで帰れる手軽さも評価された理由でした。現代の法廷ドラマでも風呂敷が登場することがあります。

失敗しない風呂敷の購入ガイド:サイズ・素材・柄の選び方とどこで買える?

風呂敷 びん包み


サイズと用途

サイズ 用途
中巾(ちゅうはば)(約45㎝)お祝いなどの熨斗袋・小物を包む
尺三巾(しゃくみはば)(約50㎝)お弁当包み・ティッシュ箱を包む・インテリアにも
二巾(ふたはば)(約68㎝)菓子折り・ワインボトル1本
二尺幅(にしゃくはば)(約75㎝)菓子折りを包む
二四巾(にしはば)(約90㎝)結んでバッグに・壁掛け・暖簾
三巾(みはば)(約105㎝)テーブルクロス・衣類を包む・大きな荷物を運ぶ
六巾(むはば)(約205㎝)布団一組を包む・ソファーカバー
七巾(ななはば)(約238㎝)引越しの荷物が包める・一番大きなサイズ


風呂敷 ティッシュ包み


柄・色・素材の選び方

色 用途
紫 高貴な人が身に着ける習慣のあった色。優雅なイメージで長寿を表す。贈り物で喜びやお礼の心を伝える時、またはお葬式などあらゆる場面で使用。
赤・ピンク結婚式などのおめでたい席にあう色。華やかなイメージで相手に喜びの気持ちを伝える。
青・藍・紺身近な色で普段使いや、お葬式などお悔やみの気持ちを伝える場で使用。
お葬式の席に適した色。うぐいす色や利休色は江戸時代の流行色。

風呂敷 柄
花鳥風月

風呂敷の柄

柄 用途
松竹梅結婚式などお祝い事に適した柄
結婚式などお祝い事に適した柄一番有名な柄。四方八方に伸びていくツルを表し幸せがいつまでも続くようにという長寿や繁栄などの願い
花鳥風月日本らしい春夏秋冬の景色や、草花、四季の自然を表現した図柄
宝づくし縁起のよい物を集めて描かれた模様。幸せを呼ぶ8つの宝物がちりばめられている。
小紋麻型(あさがた)や鮫小紋 (さめこもん)など江戸時代に武家の袴に使われた伝統的図柄

風呂敷の素材

素材用途
上品な光沢があり、冠婚葬祭の正式な場や目上の人への贈り物を包む。デリケートな素材でお手入れにはドライクリーニングがおすすめ。
木綿身近な素材。丈夫で扱いやすい。身の回りの物を気軽に包むのに最適。伸び縮みもないので洗濯機で洗うこともできる。乾燥機は生地が縮みやすいので注意が必要。

化学繊維(レーヨン・ナイロン・ポリエステル)

丈夫で扱いやすい。雨など防水対策。

どこで買える?

お店の種類 風呂敷の種類購入できる場所
専門店・伝統工芸品店質の高いものや、伝統的なデザイン、特殊な素材の風呂敷風呂敷専門店・和装小物店・呉服店・百貨店(デパート)の和装品コーナー・ギフトコーナーなど
手軽な購入場所日常使いのカジュアルなデザインや、お弁当包み用の小さな風呂敷雑貨店・ライフスタイルショップ・土産物店・観光地のお土産屋・大型スーパー・ホームセンターなど
オンラインストア種類が豊富で全国のメーカー品を選べる
専門店のオンラインショップ・Yahoo!ショッピングなど
博物館・美術館のミュージアムショップ展示内容に合わせたオリジナルデザインや、アーティストとのコラボレーション柄など、個性的な風呂敷ミュージアムショップ

👉Yahoo!ショッピングで購入する🌸大判風呂敷 市松柄緑×黒 市松 麻の葉柄ピンク

👉Yahoo!ショッピングで購入する🌸リバーシブル ふろしき 和柄

実践ガイド:今日から使える風呂敷バッグの包み方

風呂敷の包み方

おすすめの風呂敷の包み方を紹介します。

ティッシュ箱包み

風呂敷の包み方

① 裏面に広げた風呂敷の中央にティッシュ箱を置く

② 奥側と手前側をティッシュ箱に被せる

③ フィットさせながら両端を持つ

④ 真結び*2にする

*2  真結びは、風呂敷の角ふたつを持って2回結ぶ結び方

風呂敷の包み方

⑤ 反対側も同様に真結びにする

⑥ 取り出し口の部分を立たせて形を整える

完成

風呂敷の包み方 ティッシュ箱

びん包み

風呂敷の包み方 瓶

① 風呂敷を裏返し瓶を中央に立てて置く

② 手前と奥の端を瓶の口元で真結びにする

③ 左右の端を持ち上げ後ろに回す

④ 後ろで交差させる

風呂敷の包み方 瓶

⑤ 瓶を寝かせ、両手で持っている部分を手前に回しながらねじる

⑥ ねじった部分を真結びにする

⑦ 瓶を起こし、②で瓶の口元にした真結びの結び目を一つほどく。ほどいた部分をねじる。

⑧ ねじった両端を真結びにして持ち手を作る

完成

びん包み

風呂敷がもたらす日本の心

「包む」ことは物を大切にして心を込めて扱うという意味があります。プレゼントをラッピングするのも相手に気持ちを伝えるため。風呂敷を使うことで物を大切にする優しい心や日本の素晴らしい文化を発信してみませんか?

参考文献:

目次

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