
雨の季節へと移りゆく6月は、自然や暮らしの中に日本らしい情緒があふれる時期です。紫陽花やホタル、田植え、梅仕事など、しっとりとした空気の中で出会える風物詩が満載。今回は、6月ならではの行事や風習、各地で開催される祭りや旬の味覚をご紹介します。
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6月の祝日や記念日
実は6月は、日本の暦の中で唯一「国民の祝日」が一日もない月です。ゴールデンウィークの賑わいが過ぎ、次の祝日は7月の「海の日」までお預け。このため、6月は祝日を楽しみにしている人にとっては少し物足りなさを感じる時期かもしれません。しかし、そんな中でも季節を感じる記念日や行事はあります。
父の日(6月第3日曜日)

6月の大切な記念日といえば「父の日」です。日頃の感謝を伝えるこの日には、プレゼントや食事でお父さんをねぎらう家庭が多く見られます。定番の贈り物には、ネクタイや靴下、ビールや焼酎といったお酒類、健康グッズやマッサージ器などが人気です。また、子どもが手作りしたメッセージカードや似顔絵も喜ばれています。家族の絆を再確認できる、心あたたまる行事です。
芒種
「芒種(ぼうしゅ)」は、二十四節気のひとつで、毎年6月6日頃にあたります。「芒(のぎ)」とは稲や麦などの穂先にあるトゲのことで、芒種はその種をまく季節という意味を持ちます。田植えが本格化する時期であり、農村では一年の豊作を願って行事が行われることもあります。自然とともに生きてきた日本の暮らしを感じる、大切な節目です。
夏至
「夏至(げし)」は一年で最も昼の時間が長くなる日で、6月21日頃に訪れます。太陽が最も高い位置に昇り、昼の長さと夜の短さのバランスが極まるこの日は、古くから世界各地で祝いや祭りが行われてきました。日本ではそれほど大きなイベントはないものの、農業や暮らしの中で季節の移ろいを感じ取る日として大切にされてきました。夏本番を迎える前の、静かな節目のひとつです。
日本の「6月の風物詩」といえば何?
梅雨

日本の6月といえば、まず思い浮かぶのが「梅雨」の季節です。日本列島が湿気に包まれ、しとしとと雨が続くこの時期は、生活に不便を感じることもありますが、雨音に癒されるという人も少なくありません。梅雨は田畑にとっては恵みの雨でもあり、農作物の成長にとって欠かせない存在です。また、紫陽花などの雨に映える植物が街を彩り、雨の日ならではの風情を感じられる時期でもあります。
あじさい(紫陽花)

梅雨の風景を象徴する花といえば、やはり紫陽花です。6月になると各地の寺社や公園が紫陽花で彩られ、観光名所となる場所も多くあります。色とりどりに咲く花は、土壌の酸度によって青やピンクに色を変える特徴があり、その神秘的な変化も魅力のひとつ。雨に濡れることで一層鮮やかに見えるため、写真撮影にもぴったりのシーズンです。
衣替え

6月1日は「衣替え」の日としても知られています。学校や会社では冬服から夏服へと切り替える習慣があり、制服やスーツが一気に軽やかになります。家庭でもクローゼットの中を整理し、厚手の衣類をしまって涼しげな服を前面に出す時期です。気温や湿度の変化に合わせた衣替えは、体調管理にも重要で、日本ならではの生活の知恵として受け継がれてきた文化でもあります。
梅仕事

「梅仕事」とは、梅の実を使った保存食作りのことを指し、6月がまさにその最盛期です。青梅を使った梅酒や、完熟梅を使った梅干しづくりは、古くから日本の家庭で親しまれてきた風物詩。梅を洗い、ヘタを取り、塩や砂糖に漬け込む丁寧な作業は、季節を感じる手仕事のひとつです。最近では初心者向けのキットも人気で、年齢を問わず梅仕事を楽しむ人が増えています。
田植え時

6月は田植えが本格化する時期でもあります。農村ではこの時期に水を張った田んぼに稲を植える光景が見られ、日本の原風景とも言える風情があります。田植えは一年の豊作を願う大切な作業で、地域によっては祭りや神事を伴うことも。都市に住む人にとっても、農業体験や里山でのイベントなどを通じて、自然と触れ合うきっかけになっています。
ホタル

6月中旬から下旬にかけては、ホタルが飛び交う季節でもあります。ゲンジボタルやヘイケボタルなど、夜の水辺を幻想的に照らす光は、初夏ならではの自然のアート。ホタルの生息地では観賞会が開かれることも多く、静かに光るその姿を見ていると、時間がゆっくりと流れるような感覚になります。環境の変化で減少しつつある存在ですが、だからこそ一層大切にしたい風景です。
ジューンブライド

「6月の花嫁は幸せになれる」というヨーロッパ発祥の言い伝えにちなみ、日本でもジューンブライドは人気があります。気候的には雨が多い時期ではあるものの、しっとりとした雰囲気の中で挙げる結婚式もまた特別です。最近では室内チャペルやガーデン付きの会場での工夫もあり、ロマンチックなムードを演出できます。
夏越の祓
6月30日に行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年間の穢れや厄を祓うための神事です。神社では「茅の輪くぐり」と呼ばれる儀式が行われ、参拝者が大きな茅(ちがや)でできた輪をくぐって無病息災を祈願します。年の折り返しとして気持ちをリセットする意味合いもあり、静かに自分と向き合うことができる日本らしい行事です。地域によっては和菓子「水無月」を食べる習慣もあります。
夏のボーナス
企業によって異なりますが、6月下旬から7月にかけて支給される「夏のボーナス」は、多くの働く人にとっての楽しみのひとつです。夏の旅行や買い物、家族サービスなどの計画にあてられるほか、近年では投資や貯蓄に回す人も増加傾向。社会の景気動向を映し出す指標にもなっており、ニュースなどで支給額の平均が取り上げられることもあります。
日本の「6月の食べ物」といえば何?
6月は梅雨に入り、食材の彩りや味わいも夏に向けて変化し始める季節です。この時期ならではの旬の食材や、年中行事と結びついた料理が食卓を豊かに彩ります。ここでは、日本の6月を代表する食べ物をいくつかご紹介します。
水無月

「水無月(みなずき)」は、6月の和菓子として古くから親しまれてきた一品です。三角形のういろう生地の上に小豆をのせた形が特徴で、陰陽道の「氷」の形を模しているとされています。特に6月30日の「夏越の祓」に食べることで、半年分の厄を祓い、無病息災を願う習わしがあります。もちもちとした食感と控えめな甘さが暑さを和らげてくれる、季節を感じるお菓子です。
小麦餅(半夏生餅)

「半夏生(はんげしょう)」は、二十四節気に基づく雑節の一つで、例年7月初めにあたります。この時期に食べられるのが「小麦餅」や「半夏生餅」と呼ばれる郷土食で、主に関西地方で見られます。収穫を終えた麦に感謝し、労をねぎらう意味合いから、小麦粉で作った餅を家族で食べる習慣が生まれました。素朴で優しい味わいは、初夏の日本らしさを感じさせてくれます。
タコ
6月から7月にかけてはタコが旬を迎える時期。特に関西では、半夏生にタコを食べる習慣があります。これは、稲の根がタコの足のようにしっかりと根付くようにとの願いを込めたもの。ゆでダコとしてそのまま食べるのはもちろん、酢の物やタコ飯、天ぷらなど、さまざまな料理で楽しむことができます。歯ごたえと旨みが初夏の食卓にぴったりの食材です。
オクラ

独特の粘り気が特徴の「オクラ」は、6月頃から市場に出回り始める夏野菜です。食物繊維やビタミンCが豊富で、暑さで疲れた体にもやさしい栄養価の高い食材。おひたしや味噌汁、和え物などに加えると、つるんとした食感がアクセントになります。彩りもよく、料理に取り入れるだけで夏らしい雰囲気を演出できる優秀な野菜です。
そら豆

「そら豆」は春から初夏にかけてが旬の豆で、6月には最も味がのって美味しくなります。さやが空に向かって育つ様子から「そら豆」という名前がついたとされ、塩ゆでや焼きそら豆など、シンプルな調理で豆本来の甘みと香りを楽しめます。季節の先取りとして食卓に登場することも多く、ビールとの相性も抜群。短い旬だからこそ、味わっておきたい一品です。
ゴーヤ

苦味が特徴の「ゴーヤ」は、夏を代表する野菜として知られていますが、6月ごろから徐々に出回り始めます。沖縄料理の代表格である「ゴーヤチャンプルー」など、炒め物にして食べるのが一般的。ビタミンCが豊富で、暑さによる疲労回復にも効果的とされ、夏バテ予防にもぴったりの野菜です。苦味が苦手な人も、塩もみや調理法で工夫すると食べやすくなります。
6月に日本で行われる有名な祭りやイベント
6月は梅雨に差しかかる季節ですが、全国各地では初夏を彩るさまざまな伝統行事や祭りが開催されます。それぞれの地域に根ざした歴史や文化、風景を感じられる貴重な機会です。以下では、特に有名な祭りを開催日とともにご紹介します。
貴船祭(京都)
京都・貴船神社で6月1日に行われる「貴船祭」は、水の神様である高龗神(たかおかみのかみ)に感謝し、五穀豊穣を祈願する伝統的な神事です。貴船川沿いを神輿が巡る様子や、古式ゆかしい衣装を身にまとった行列は、静かな山間の風景と相まって厳かで美しい風情を醸し出します。
山王祭(東京)

東京都千代田区の日枝神社で行われる「山王祭」は、隔年の6月中旬に開催され、江戸三大祭のひとつに数えられています。特に偶数年には「神幸祭」が行われ、神輿や雅な行列が皇居周辺を巡る華やかな光景が見られます。都心にありながら歴史と格式を感じられる貴重な祭礼です。
YOSAKOIソーラン祭り(北海道)

札幌市を舞台に6月上旬に開催される「YOSAKOIソーラン祭り」は、若者を中心に構成される踊り子たちが鳴子を手に街を練り歩く、エネルギッシュなイベントです。高知のよさこい節と北海道のソーラン節が融合した独自のスタイルで、初夏の札幌を熱気に包み込みます。
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チャグチャグ馬コ(岩手)

岩手県で6月第2土曜日に行われる「チャグチャグ馬コ」は、豪華な装飾を施された馬たちが、滝沢市から盛岡市までの約15kmを練り歩く伝統行事です。鈴の音「チャグチャグ」が行列とともに響き渡り、子どもたちの無病息災と馬の安全を祈願する牧歌的な行事として親しまれています。
金沢百万石まつり(石川)

「金沢百万石まつり」は、加賀藩祖・前田利家の金沢城入城を記念して、毎年6月第1週の週末にかけて開催されます。甲冑を着た武者行列や伝統芸能の披露、迫力ある太鼓演奏などが行われ、金沢市内全体が歴史ロマンに包まれます。北陸随一の規模を誇るイベントとして、多くの観光客が訪れます。
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熱田まつり/尚武祭(愛知)
名古屋市の熱田神宮で6月5日に開催される「熱田まつり(尚武祭)」は、武運長久や五穀豊穣を祈る盛大な神事です。夜には約1,000発の花火が打ち上げられ、神楽や奉納演奏とともに幻想的な夜を演出。市民にとって夏の訪れを告げる風物詩となっています。
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