青く広がる海を眺めながら、のんびり揺られるローカル線の旅。日本各地には、海沿いを走る絶景ローカル線が数多くあります。中でも、鎌倉の街並みと海の風景を楽しめる「江ノ電」、日本海沿いを走る「五能線」、まるで海の上を走るような「京都丹後鉄道」は、車窓の絶景はもちろん、地域の魅力も堪能できる人気路線です。
本記事では、海が見える絶景列車を8路線を厳選し、見どころや下車して訪れたいスポットなどをご紹介します。次の旅のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
※2025年6月時点の情報です
1. 江の島電鉄線(江ノ電)(神奈川県)
江ノ電はどこからどこまで走る?
江ノ島電鉄線(略称:江ノ電)は、神奈川県藤沢市の藤沢駅から、鎌倉市の鎌倉駅までを結ぶ全長10kmほどのローカル線です。全15駅を結ぶこの路線は、移動手段としてだけでなく、乗車体験そのものを楽しめる鉄道として観光客に親しまれています。
江ノ電が人気な理由は?『SLAM DUNK』聖地はどこ?
江ノ電の人気の理由は、何といっても車両のレトロな雰囲気、「海と街を同時に楽しめる」ローカル感にあります。車窓から見える海、住宅街の細い道をすり抜けるように走る電車、そして歴史ある神社仏閣やグルメスポットへのアクセスの良さ。都会の喧騒から離れて、のんびりとした時間が流れています。

さらに、アニメファンにとっても江ノ電は「聖地」の一つ。特に有名なのが『SLAM DUNK(スラムダンク)』のオープニングに登場する踏切です。場所は「鎌倉高校前駅」のすぐ近くにあり、多くのファンが作品の世界観を感じながら記念撮影を楽しんでいます。
海が見える絶景区間は?立ち寄り駅や撮影スポット
江ノ電の中でも特に人気なのが、鎌倉高校前駅〜七里ヶ浜駅間。海沿いギリギリを走るこの区間では、晴れた日にはキラキラ輝く相模湾と江の島、遠くには富士山まで見えることもあります。
立ち寄り駅や撮影スポット
- 江ノ島駅:江の島散策の拠点。シーキャンドルや岩屋洞窟、グルメも豊富。
- 長谷駅:高徳院(鎌倉大仏)や長谷寺へアクセス可能。
- 極楽寺駅:趣ある木造駅舎。映画『海街diary』のロケ地としても有名です。
江ノ電お得なきっぷ「のりおりくん」はどこで買える?
江ノ電を1日たっぷり楽しみたい方には、江ノ電1日乗車券「のりおりくん」がおすすめです。料金は大人800円・小児400円で、江ノ電の各駅券売機のほか、観光案内所や一部ホテルでも購入可能です。また、スマートフォンからも購入できるデジタルチケット版(EMotチケットアプリ対応)もあり、事前に準備しておけば当日スムーズに観光をスタートできます。
2. 五能線(青森県~秋田県)
五能線はどこからどこまで走る?
五能線は、秋田県の東能代駅と青森県の川部駅を結ぶ、JR東日本が運営するローカル線です。全長は147.2km、沿線には43の駅があり、日本海沿いの風景を眺めながら、ゆったりとした列車旅が楽しめます。
海が見える絶景区間は?五能線の絶景駅はどこ?

五能線のハイライトは深浦駅〜岩館駅の海岸沿いの区間です。車窓に広がる日本海のパノラマは圧巻です。特に夕暮れ時には、海に沈む夕日が車窓を赤く染め、まるで映画のワンシーンのような光景が広がります。
立ち寄り駅や撮影スポット

- 千畳敷駅:駅を降りるとすぐに広がる岩畳の海岸。撮影スポットとしても人気。
- 驫木(とどろき)駅:海がすぐ目の前に。小さな木造駅舎も味わい深く、秘境駅ファンにも愛されています。
- 十二湖駅:白神山地の入り口で、観光の拠点としても便利。
「リゾートしらかみ」とは?普通列車との違いは?
「リゾートしらかみ」とは、JR東日本が秋田駅~弘前駅・青森駅の間を運行する観光列車です。五能線の普通列車が地域の足であるのに対し、「リゾートしらかみ」は観光を目的とした特別車両で、以下のような違いがあります。
- 広い車窓
- 木の内装や展望スペースなど、車両ごとのデザイン
- 津軽三味線の生演奏などの車内イベント(時期による)
「リゾートしらかみ」は全席指定席なので、乗車の際はみどりの窓口、指定席券売機やインターネットでの予約が必要です。
五能線フリーパスはどこで買える?
「五能線フリーパス」は、五能線全線と奥羽本線の一部区間で利用できる2日間有効のお得なフリーきっぷです。普通列車・快速列車の自由席が乗り放題で、料金は大人 3,880円・子ども 1,940円です。フリーエリア内および秋田エリア内のみどりの窓口や、指定席券売機で購入できます。
3. 京都丹後鉄道(京都府)
京都丹後鉄道はどこからどこまで走る?
京都丹後鉄道(通称:丹鉄)は、WILLER TRAINSが運行する京都府北部を中心に走るローカル線です。舞鶴市と宮津市を結ぶ「宮舞線」、宮津市から与謝野町を経て豊岡市に至る「宮豊線」、および宮津市から福知山市を結ぶ「宮福線」があります。
海の上を走る区間は?京丹後の絶景スポットはどこ?

京都丹後鉄道の「海の上を走る」区間は、由良川橋梁です。これは丹後由良駅と丹後神崎駅の間に位置し、由良川を渡る鉄橋です。この区間は特に水面に近い場所を走るため、海の上を走っているような感覚を味わうことができます。
そのほか、宮舞線の栗田駅〜丹後由良駅間にも海の景色を楽しめます。座席からは、美しい海の眺めが広がり、開放感あふれる車窓風景を堪能できます。
立ち寄り駅や撮影スポット

- 天橋立駅:日本三景のひとつ「天橋立」観光の拠点。駅から徒歩圏内に、天橋立を一望できる「傘松公園」などの絶景スポットがそろっています。また、バス約1時間で「伊根の舟屋」へもアクセス可能。
- 夕日ヶ浦木津温泉駅:夕日の名所・夕日ヶ浦海岸へアクセスできる駅。海沿いの温泉街も近く、のんびりとした旅に最適です。
- 網野駅:駅からバスで約13分「琴引浜」へ行けます。足で砂を踏むと“キュッキュッ” と音が鳴る珍しい浜で、透明度の高い海と白い砂浜が広がる絶景スポットです。
丹後くろまつ号とは?予約なしで乗れる列車は?
「丹後くろまつ号」は、京都丹後鉄道が運行する観光列車のひとつです。地元食材を活かした料理と北近畿の美しい景色を楽しむことができ、特別な時間を過ごせます。完全予約制で、季節やプランによって運行内容が異なります。
また、「丹後あかまつ号」は定員制の予約列車で、乗車には通常運賃に加えて有料の「乗車整理券」が必要です。
予約なしで気軽に乗車できるのが「丹後あおまつ号」。
4. 根室本線(北海道)
根室本線はどこからどこまで走る?

根室本線は、北海道の滝川市の滝川駅から始まり、富良野、新得、帯広、釧路を通って、根室市の根室駅までを結ぶローカル線です。これはJR北海道が運行している路線で、釧路駅から根室駅までの区間は「花咲線」とも呼ばれています。 車窓から北海道の大自然や太平洋の美しさを観光できます。
海沿い走る絶景区間は?立ち寄り駅や撮影スポット

根室線には見どころがたくさんありますが、中でもおすすめなのが、別当賀駅から落石駅までの区間。車窓から落石海岸の雄大な風景を楽しめる絶景ルートです。
立ち寄り駅や撮影スポット
- 浜中駅:浜中町は霧多布湿原が近く、自然豊かな景色を楽しむことができます。
- 根室駅:終点の根室駅周辺では、納沙布岬や風蓮湖などの観光スポットがあります。納沙布岬は日本で一番早く朝日を見ることができる場所。
根室本線を利用時の注意点と現地交通。一部区間が廃止された理由は?
根室本線の一部区間(富良野〜新得間)は、利用者の減少や維持費の負担、さらに土砂災害による長期運休の影響もあり、鉄道での運行を続けることが難しくなりました。そのため、2024年3月で廃止され、現在は代わりにバスが走っています。
運行本数が少ないため、事前に時刻表を確認しておくのが安心です。特に自然公園や岬など、駅から離れた場所へ行くには、車での移動が便利です。
5. 予讃線(香川県~愛媛県)
予讃線はどこからどこまで走る?
予讃線は、香川県の高松駅から愛媛県の宇和島駅までを結ぶ、JR四国が運行する鉄道路線です。全長327km(支線を含む)、瀬戸内海を望む絶景の車窓を楽しめるのが魅力です。
海に近い絶景区間は?予讃線の絶景スポットはどこ?

予讃線のみどころは、香川県の海岸寺駅から詫間駅までの区間。海ぎりぎりを走る迫力ある景観が魅力です。また、愛媛県の高野川駅から伊予長浜駅にかけても、美しい海の景色を車窓から楽しめます。
立ち寄り駅や撮影スポット
- 下灘駅:「日本で一番海に近い駅」として知られ、ホームから海と空が一体となった風景が広がります。夕暮れ時の美しさは格別で、多くの旅行者やカメラマンが訪れる人気スポットです。
- 喜多灘駅や串駅:ローカル感たっぷりで、海が近くて、鉄道写真や旅情を感じるスナップ撮影におすすめです。
予讃線で使えるフリーきっぷ情報
- 四国フリーきっぷ:連続する3日間、JR四国全線(特急含む)の自由席に乗り放題。観光にも最適。窓口等で販売の紙きっぷの他に、スマホで手軽に購入できるデジタル版「スマえき四国フリーきっぷ」「しこくるり四国フリーきっぷ」もあります。料金は大人18,000円・子ども9,000円です。
- 四国再発見早トクきっぷ:土曜日や休日に快速・普通列車 に1日乗り放題のきっぷです。JR四国の主な駅、みどりの券売機プラス、JR四国ツアー支店などで購入できます。料金は大人2,400円・子ども1,200円です。
6. 氷見線(富山県)
氷見線はどこからどこまで走る?

氷見線は、富山県の高岡駅から氷見駅までを結ぶローカル線です。沿線にはのどかな田園風景や日本海を望む車窓が広がり、ゆったりとした時間が流れる旅を楽しめます。
雨晴海岸沿いの絶景区間は?立ち寄り駅や撮影スポット
氷見線のハイライトは、越中国分駅から雨晴駅まで雨晴海岸沿いを走る区間。この区間では、富山湾と立山連峰の美しい景色を楽しむことができます。
立ち寄り駅や撮影スポット

- 高岡駅:駅周辺には「高岡大仏」「瑞龍寺」などの歴史的スポットがあり、観光の拠点にもぴったりです。
- 雨晴駅:雨晴海岸のすぐ近くにあり、立山連峰を背景にした海岸の景色を撮影するのに最適です。
7. 長崎本線(佐賀県~長崎県)
長崎本線はどこからどこまで走る?
長崎本線は、佐賀県の鳥栖駅から長崎県の長崎駅までを結ぶJR九州の路線です。全長約125.3kmで、都市部と地方をつなぎ、通勤通学や観光にも利用されています。
有明海沿いの絶景区間は?立ち寄り駅や撮影スポット
佐賀県の多良駅〜肥前大浦駅間は、有明海沿いを走る絶景区間。車窓からは穏やかな海の景色を楽しむことができます。
立ち寄り駅や撮影スポット
- 多良駅:駅から徒歩圏内にある「大魚神社の海中鳥居」は、有明海に浮かぶように立つ幻想的な鳥居で人気の撮影スポットです。
- 小長井駅:ホームの目の前に有明海が広がる絶景駅。周辺にはメロンやスイカなどを模した「フルーツバス停」が点在し、SNS映えする名物スポットになっています。
8. 日南線(宮崎県~鹿児島県)
日南線はどこからどこまで走る?
日南線(にちなんせん)は、宮崎県の宮崎駅から鹿児島県の志布志駅(しぶしえき)までを結ぶ全長約88.9kmの路線で、宮崎県南部の沿岸エリアを走ります。一部区間では鹿児島県にも跨り、のどかな海沿いの風景や、南国らしい植物が車窓に広がるローカル線として知られています。
日向灘を望む絶景区間は?立ち寄り駅や撮影スポット
日南線の見どころは、油津駅~南郷駅までの区間。海が間近に迫る美しい景色が楽しめます。
立ち寄り駅や撮影スポット

- 青島駅:青島神社や青島ビーチが近く、観光地として人気があります。
- 飫肥駅:飫肥城下町があり、江戸時代の風情を感じられる歴史的スポットです。
Comments