会場や座席の種類に基本マナー。日本へコンサートを観に行く前に知っておきたい知識入門

チケットの販売方法をはじめ、日本には日本ならではのコンサートのルールがたくさんある。

どんなコンサート会場がある?「指定席」と「立見席」の違いは?など、この記事では、今後日本へコンサートを観に行く予定のある皆さんがもっと楽しめるよう、コンサート会場の種類や座席タイプから、イベント当日までに予習しておきたい鑑賞マナーまでを徹底解説する。

日本ではどんなコンサート会場の種類があるの?収容人数は?

数百人規模の小さな会場から、数万人以上を収容できる競技場まで、日本のコンサート会場は主に5つのクラスに分別されている。また、夏を中心として行われる音楽フェスなどは、屋外の会場で行われる場合も。

会場規模が違えば、設備、客席の設置などが異なるのはもちろんのこと、アーティストとの距離の近さや見やすさも大きく変わってくる。「推し」のコンサートに参戦することが決まったら、当日により楽しめるように、一度会場の特徴について予習しておこう。

クラススタジアム
ドーム
アリーナ
ホール
ライブハウス 
野外・そのほか
収容人数
約30,000~70,000人
約40,000~50,000人
約5,000~20,000人
約1,000~5,000人
約100~2,000人
数百人~数万人
代表的会場

国立競技場(東京)

日産スタジアム(神奈川)

静岡エコパスタジアム(静岡)

東京ドーム(東京)

ナゴヤドーム(愛知)

札幌ドーム(北海道)

日本武道館(東京)

横浜アリーナ(神奈川)

さいたまスーパーアリーナ(埼玉)

中野サンプラザ(東京)

パシフィコ横浜国立大ホール(神奈川)

フェスティバルホール(大阪)

Zepp DiverCity(東京)

Zepp Namba(大阪)

DRUM LOGOS(福岡)

国営ひたち海浜公園(茨城)

苗場スキー場(新潟)

宜野湾トロピカルビーチ(沖縄)

スタジアムクラス(収納人数:約30,000~70,000人)

日本国内で最大級の収容人数を誇る神奈川・日産スタジアムをはじめとする陸上競技場。プロサッカー、野球の国際試合からワールドカップまで、陸上競技以外の大規模なスポーツイベントも多く開催されている。中でも代表的なのが、東京・新宿区に位置する国立競技場をメイン会場に開催された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会だ。

ほか全国にある競技場は大規模コンサートの会場とされることも多く、大型映像装置を完備。噴水、水柱などの特効を使用した派手な舞台演出などが楽しめる。コンサートによっては打ち上げ花火が上がることも!

ドームクラス(収容人数:約40,000~50,000人) 

半円球の形をした開閉屋根を持ち、様々な用途に適した多目的ドーム球場。野球のプロチームの本拠地でもあるため、グラウンド面積が広く、施設内に飲食店や物販店舗もたくさん出店している。

日本では現在、①東京・東京ドーム、②大阪・京セラドーム大阪、③福岡・福岡PayPayドーム、④愛知・バンテリンドーム ナゴヤ、⑤北海道・札幌ドームと⑥埼玉・ベルーナドーム、コンサート会場としてのドーム球場が6つある。これらを一般的に「5大ドーム」(ベルーナドームを除く場合)、または「6大ドーム」と呼ぶ。

アリーナクラス(収容人数:5,000~20,000人)

大阪・大阪城ホール

©(公財)大阪観光局 ©Osaka Convention & Tourism Bureau

アリーナは屋内陸上競技から、コンサートや展示会まで、多目的利用が可能な屋内施設のこと。全国の主要都市にあり、主要鉄道駅に近く交通利便性に優れている会場が多い。

ステージと同じフロアにあるアリーナは面積が広く、そのほかのスタンド席がステージを囲むように配置されているのが特徴。

ちなみに「大阪城ホール」は名前がホールとなっているが、実は16,000人収容のドーム式の多目的アリーナだ。

ホールクラス(収容人数:1,000~5,000人)

クラシック音楽からポップミュージックまで、幅広いジャンルの音楽イベントに利用されるのはコンサートホール。芸術劇場、県民会館、市民文化会館など、主要都市だけでなく地方都市にも多く建設されている。

ほか演劇、オペラ、ダンス、講演などの開催も想定されるため、観客全員が舞台を見渡せるように設計されており、本格的な音響・照明設備と優雅な雰囲気を持ち合わせている。

ライブハウスクラス(収容人数:100~1,000人)

基本的に、ロックやジャズ等の生演奏が行われる小さな会場のことで、オールスタンディングの会場も多くアーティストとの距離が近く盛り上がりやすい。入場時に別途、500円~600円のドリンク代を支払い、ドリンクチケットを場内のドリンクカウンターで飲み物に引き換える制度を設けている会場が多い。

チケットに書かれた整理番号に従って順番で入場するものが多いが、簡易椅子が置かれて全席指定になる場合や、2Fのみ指定席が設けられるケースも。

そのほか(スキー場、国営公園、ライブレストラン など)

屋内施設だけでなく、スキー場や国営公園のような屋外スペースにステージを設置し、エリア全体を会場として大規模イベントを行う場合も。FUJI ROCK FESTIVALやSUMMER SONICはその中でも代表的な例だ。

数十万人の観客を集める音楽フェスがある一方、クラブ&ライブレストラン、ビーチや神社など、多種多様な場所で少人数ならではの雰囲気が楽しめるものも。

日本でのコンサートのよくある座席種類

よくあるコンサート会場を解説したところで、次は一般的な座席の種類を見ていこう。

チケット抽選・購入申し込み時に1席種のみ設定されている公演があれば、複数の座席タイプが選択できる場合も。それぞれの席種の特徴を把握した上、お好みに合わせて手続きを進めて。

もちろん例外があるが、下記全ての席種の共通点として挙げられるのが座席の位置や入場の順番がランダムに割り振られるということ。チケットが全席一律料金で販売される場合でも、申込・購入順と関係なく、最前列も最後列が当たるチャンスもあるのだ。また、イベント開催日が近づいてから(発券後や入場前)初めて座席が分かることが多いため、実際どの位置から「推し」が見られるかはコンサート直前までの楽しみとも言える。

指定席

チケットにブロック、列、座席番号が明記されている座席タイプ。

スタジアムやドームクラスの会場になると、基本全ての座席は指定席とされ、会場の前方・中央を占める「アリーナ席」と後方にある階段状に配置された「スタンド席」の2種類に分けられる。このほか、ステージから近い順にSS席・S席・A席のように、エリア別で異なる料金で区分する公演もある。

また、ホールやライブハウスなどの小規模会場においては、会場一部のみが指定席になっている場合も。

立見席・スタンディング

座席がなく、立ったまま鑑賞する席種。主に事前に鑑賞場所が決められている「立見指定席」と、並んだ順番や数字の小さい整理番号順から案内される「立見席」の2種類に分ける。

また、収容人数の多い会場では、チケット種別によって、場内がいくつかのブロックに分けて仕切られている場合もある。

機材開放席

本来、会場に音響や照明機材を設置するために確保していたスペースを実際セッティングした後に、観客用の座席として利用できると判断された席のこと。

基本的にはイベント前日または当日に、僅かな枚数で販売される。

注釈付席(見切れ席、ステージサイト席 など)

特定の条件や制限がある座席のこと。

機材や柱が前方にある影響で、視界が部分的に遮られたり、音が聞き取りにくかったりするのがデメリット。ただし、ステージの全体や演出の一部が見えにくい分、コンサートによっては安価に提供されることも。

注釈付席の中には、ステージの一部が見切れる「見切れ席」や、ステージを真横から見る「ステージサイト席」などがある。

日本のコンサートでの注意事項・マナー

日本でのコンサートへ参加するにあたって、ルールやマナーもいくつかある。ここからは特に初心者の方に知っておいてほしい注意事項を中心に、他のお客さんに迷惑をかけないように注意すべきことをご紹介。

写真・動画撮影は基本禁止

撮影OKの海外アーティストとは反対に、日本人アーティストによるライブの多くは基本、公演中は撮影・録画・録音が厳しく禁止されている。以上の行為が発覚した場合、データの削除、機材の没収だけでなく、強制退場が求められるリスクも。

また、会場内へはプロ仕様の撮影機器を持ち込むことはできないので、旅に持ち歩いていれば、会場付近のコインロッカーに預けるか、預かりの窓口に保管してもらおう。

ライブ中に立ったまま観覧することが多い

クラシックやアコースティックライブなどを除き、多くのコンサートでは指定席だろうが立見席だろうが、開演すると観客全員が立ち上がって観覧するのが一般的。

とはいえ、2~3時間に及ぶコンサートをずっと立ちっぱなしで見る必要はない。バラード曲、曲間かMC中に、自分のペースで適度に着席して休みながら楽しもう。

応援グッズ(うちわ・ペンライト など)は胸元の高さまで

コンサートをより楽しめるよう、ペンライト、うちわ、タオル、メッセージボードを含む応援グッズは持参しておきたいもの。ただし、頭より上に持ち上げると、周囲の視界を遮ったり、演出の妨げになる恐れがあるため、胸あたりの位置に持つように心がけよう。

なお、公式・非公式問わず、アーティストや公演によって使用規定を設ける可能性もあるので、特にペンライトで盛り上げたい人は事前にオフィシャルが発表する情報も合わせて確認の上、会場へと足を運ぶと良いだろう。

開場時間と開演時間に要注意

チケットには「開場時間」と「開演時間」が明記され、それぞれに「入場できる状態になる時間」と「コンサート自体が始まる時間」を指す。ほとんどのコンサートは開演時間通り、または5分~10分程度遅れて始まるため、開演時間の5分~10分には着席しておくようにしよう。

一方、立見席で観覧する場合は開場時間前に整列して整理番号順に入場するのが一般的。前方で観覧したい場合、早めに会場に着いて並ぶことがおすすめだ。

日本のコンサートチケットの買い方はこんなにも違う!

会場の種類や座席タイプから、コンサート中の鑑賞マナーまで、日本のコンサート文化。これらに加え、コンサートチケット販売の仕組みに戸惑う人も多いのでは?

これから日本へコンサートを観に行く予定のある人に向けて、下記の記事ではチケット入手の流れを説明しているので合わせてチェックしてみて。

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