
近年、SNSや動画配信サービスの普及により「推し活」が一般化し、Z世代を中心にライフスタイルの一部となりつつあります。もはや「推し」は特別な存在ではなく、日常に溶け込む消費・行動の軸となっている現代。ノウンズ株式会社が全国の一般生活者4,817名を対象に「推し活に関する消費者意識調査」を実施し、「誰を推しているのか?」「どれほどの時間とお金をかけているのか?」といった実態に加え、「推し方」からにじみ出る価値観や生活行動の傾向を多角的に分析しました。
4人中3人は「推し」がいる時代!対象も多種多様
Q:あなたには「推し」と呼べる存在がいますか?

Q:あなたの「推し」の対象は何ですか?(複数選択可)

「推しがいる」は74.9%──“推し活”はもはやマジョリティ
全体の74.9%が「推しがいる」と回答しました。今や“推し”を持つことは特別な行動ではなく、むしろ当たり前になりつつあることが明確になっています。
推し対象の上位には、「キャラクター(アニメ/ゲーム/マンガなど)」と、「アイドル/グループ」が拮抗する結果となりました。3位以下には「歌手・バンド」「俳優/女優」「スポーツチーム/選手」など、ジャンル横断的に“推し”が分布しており、エンタメの多様性がそのまま“推し活の多様性”に反映されている構造が見て取れます。
また、注目すべきは“VTuber”や“インフルエンサー”といったネット発の存在も高い支持を得ていることです。これは、リアル/バーチャルの境界を越えて“心を動かす存在”が推されていることを示しています。
具体的に“推し”の対象を聞く質問では「大谷翔平」「乃木坂46」「サンリオ」「鬼滅の刃」「ワンピース」「Snow Man」「ちいかわ」などが上位に上がりました。
20%が推し歴10年以上!推し始めたきっかけは?
Q:「推し」を推し始めてどのくらい経ちますか?

Q:「推し」を推し始めたきっかけは何ですか?

SNS:27% 友人・家族などからの勧め:11.4% 偶然目にした広告:5.4% TV/雑誌などのマスメディア:32.2% イベント参加:4.6% その他:19.4%
推し活の入口は“テレビとSNS”、継続期間は3年以上が主流
“推し活”を始めたきっかけとして最も多かったのは「TV/雑誌などのマスメディア」、次いで「SNS」。この2つだけで過半数を占めており、マスメディアとSNSの2大接点が“推しとの出会い”の主流となっていることが明らかになりました。一方で、「友人・家族の勧め」や「偶然目にした広告」など、間接的な接触がきっかけとなるケースも一定数あり、推しとの出会いは複数のタッチポイントが重なることで生まれる“偶然性”も重要な要素であることが示唆されます。
また、推し始めてからの期間では「1〜3年未満」が最多で、背景にはコロナ禍を契機に推し活が広がった影響もあると考えられます。「3〜5年」「10年以上」もそれぞれ2割超となっており、推し活は一過性でなく、長く続くライフスタイルの一部となっていることが示されました。
みんなの推し活事情。「好き」を日常生活に取り入れる人が増加中
Q:推し活において平均で1日にどのくらいの時間を費やしていますか?

Q:推し活において行っていることを教えてください。

“観る・触れる・買う”が中心、推し活は“日常1時間”の新習慣
推し活の具体的な行動として最も多かったのは「作品・活動の鑑賞」、次いで「SNSのチェック・投稿」「グッズ購入」が上位に並びました。いずれも“推しとの接点を日常的に楽しむ”行動が中心であり、ファンの多くが“推し活”を生活の中に自然に組み込んでいることが分かります。
一方で「イベント参加」や「課金・配信視聴」「遠征」など、コストや時間を伴う行動も一定数存在しており、“オンライン・オフライン双方での熱量の高まり”も見逃せません。
また、1日あたりの推し活時間は「1時間未満」が過半数を占めつつも、「1〜3時間」、「3時間以上」という層も一定数おり、“推し活は毎日の中にある個人時間”として定着している実態が明らかになりました。
推し活の経済効果が侮れない!二重構造で市場ポテンシャル高め
Q:推し活において平均で1ヶ月あたりどのくらいの支出がありますか?

小さな金額でコツコツ楽しむ“ライト消費層”が中心
推し活における「平均的な1ヶ月あたりの支出額」について尋ねたところ、「1,000円未満」が最多となりました。日常的な推し活においては、小さな金額でコツコツ楽しむ“ライト消費層”が中心であることが読み取れます。
一方で、「5万円以上」と回答した層も4.2%存在しており、平均支出額の設問でこのような数値が出ること自体が、推し活における強いロイヤリティと持続的な投資傾向を示しています。
このように、推し活市場はライト層の裾野が広がりながらも、支出意欲の高い層が着実に存在する“二層構造”であることが浮き彫りになりました。
かけがえのない存在。「推しのいる生活」で人生が豊かに
Q:推しの存在が生活に与える影響はなんですか?

“癒し”だけじゃない。推しは人生を動かす起点になる
「推しの存在が生活に与える影響」として最も多かったのは「癒し・ストレス軽減」で、次いで「日々のモチベーション向上」。この2つだけで全体の6割以上を占めており、推しが“心の支え”であり、“前向きな気持ちをくれる存在”として受け止められていることが明らかになりました。
さらに注目すべきは、「行動の変化(旅行・挑戦など)」が771名、「人間関係が広がった」が661名、「消費行動の促進」が522名と、実際の行動・選択にまで変化を与えている層も一定数いるという点です。
推しの影響は感情面にとどまらず、移動、購買、人とのつながりという“生活の輪郭”にも波及していることがわかります。

本調査から見えてきたのは、推し活が単なる“応援”ではなく、日々の生活を形づくる実質的な行動であるという事実です。そこには、支出・時間・創作・移動といったリアルなアクションが伴い、商品選定やイベント参加、さらには購買タイミングにも影響を与える傾向が見て取れました。
2025年下半期の推し活のトレンドは?

最後に、SNS総フォロワー11万人の「推し活応援メディア」と推し活専門オンラインストアを運営する株式会社Oshicocoによる、2025年下半期に大注目の『推し』や、『推し活文化』のトレンド予想をご紹介します。
推し活×AI
AIを活用した二次創作小説の作成、推しに関する情報収集、さらにはAI上での推しとの会話など、推し活をより便利で充実させる新しい形が広がっています。
80~90年代ファッション
グランジや「ウィッシュコア」といった80~90年代のリバイバルファッションが推し活層にも浸透し、ファッション業界への影響も注目されています。
コト消費
推し活グッズ購入などの「モノ消費」から、聖地巡礼や推し旅といった体験型の「コト消費」へ関心が移行し、地方創生や観光客誘致の可能性も示唆されています。
スピ活
昨年から続く当選祈願やお守り、神社巡りに加え、待ち受け画面や特定の行動による「運気アップ」など、スピリチュアルな要素を取り入れた推し活が多様化しています。
カフェ活
「推し色」だけでなく、ファッショントレンドや季節限定要素を取り入れたカフェが推し活層に人気で、トレンドをいち早く反映するカフェが今後も注目されるでしょう。
出典:PR TIMES
AI、スピリチュアル、ファッション。一見すると無関係な要素が、現代の推し活を語る上で欠かせないキーワードとなっています。このように、推し活は様々な文化と融合しながら進化を続けており、今後も新しいムーブメントを生み出す可能性を秘めています。
Comments