【日本100名城シリーズ】日本初の高層建築・天守を織田信長が築き上げた滋賀県「安土城」

(公社)びわこビジターズビューロー© Biwako Visitors Bureau

日本の国宝で、現存天守12城の一つ「彦根城」を有する滋賀県。しかし、お城マニアからみると、彦根城よりも城跡しか残ってない「安土城」のほうが魅力的に感じるかもしれません。なぜなら、ここは日本で最初に天守が誕生した城で、近世城郭の原点とも呼ばれているからです。

さらに特筆すべきなのは、この城を築いたのが名高い戦国武将「織田信長」である点です!


滋賀県安土城を築き上げた「織田信長」

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戦国三英傑の一人として日本史の中でも高い人気を誇る「織田信長」は当時から、実力、権力・名声とも兼ね備えていました。

しかし、信長が中国地方へ勢力を伸ばそうとした矢先に、「本能寺の変」が起き、追い込まれた信長は宿泊した本能寺で火を放ち、自害しました。

しかし現在に至るまで、その遺体は見つかっておらず、行方は謎に包まれたまま。焼死体が多くて特定できなかったという説が主流ですが、一部ファンの間では、「信長は実は逃げ出していたのでは?」という説も。

享年49歳だった織田信長と関わりのあるお城は、ごくわずかしかありません。石垣、城郭、天守などを自らの手で築いた安土城はその1つです。後世に伝わる日本のお城のイメージも、信長によって確立されたのです。

織田信長天下統一の拠点、「安土城」

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安土城は、天下統一の拠点及び織田信長の居城として、1576年に着工が開始されました。丹羽長秀が普請奉行を務め、場所は滋賀県琵琶湖東岸に広がる「安土山」の山頂部(現在の滋賀県近江八幡市)に築城されました。

当時、越後国(現在の新潟県)の上杉謙信と対立関係にあった織田信長にとって、天下統一を加速させるためには、京都と越後の間に位置し、さらに琵琶湖の水運も利用できる利便性を持つ安土にお城を築くことが重要だったためです。

築城技術の集大成である安土城と天守

写真提供:滋賀県

約三年の歳月をかけて完成となった安土城は、従来のお城の概念を破る、斬新なデザインの城でした。

というのも、安土城は日本史上初めて天守を持つ(安土城の天守は、同じ発音である「天主」とも表記する) お城だったのです。安土城の天守の高さは約32メートルで、姫路城の天守とほぼ同じです。また、標高約199メートルの安土山山頂に位置するため、その姿はよりいっそう雄大です。

安土城の天守が高いだけでなく、「5層7階」で建設されたことも特徴的です。これは、外観は5層・内部は全7階(地上6階、地下1階)という構造のこと。

当時、外から見る1層目~3層目は黒、そして4層目は朱色に塗られています。5層目は外側も内側も金箔が貼り付けられているほか、内部の部屋は墨絵と金碧極彩色で飾られていたそうです。

朱色・青色・金箔の豪華な屋根瓦や、朱色の八角形の望楼型の天守を有することから、安土城は当時の日本の最高峰の技術と芸術の集大成ともいわれています。その豪華絢爛さに、ヨーロッパから訪れた宣教師も「ヨーロッパの最も壮大な城に比肩しうる。我らの塔よりも遥かに気品があり壮大な建築である」と絶賛しました。

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安土城の特徴の一つに、石垣があります。安土城は、総石垣づくりで、日本史上初の10メートルを超える高い石垣も作られたお城として知られています。正面入り口である大手門から山頂部に築かれた天守・本丸へ続く「大手道」まで、石垣が続きます。

こうした総石垣造りの城は、従来の城にはなかったため、安土城は近世城郭の原型になったとされています。

謎だらけの安土城

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史料によると、安土城は完成後、当時の人々から大変注目を集めていました。その人気ぶりは、現在の博物館や遊園地のように、大名も百姓も入場料を払って見学していたほど。

しかし、建築技術の集大成のこの城郭は誕生からわずか6年で、1582年の「本能寺の変」の後に原因不明の火事によって焼失してしまいました。今は安土山にある城跡だけが残り、建造者の織田信長の死と同じように、安土城は今もなお謎だらけの存在です。

近江八幡市内の施設で安土城の歴史を知ろう

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後世の城郭建築に様々な影響を与えた安土城は今、「日本100名城」の1つに数えられています。豪華絢爛な建築は焼失してしまいましたが、織田信長とゆかりあるお城として今も大勢の観光客が訪ねています。

近江八幡市内にある安土城郭資料館、滋賀県立安土城考古博物館、安土城天主 信長の館(上の写真)などの施設では、安土城にまつわる歴史資料から、華麗な天守の模型まで展示しています。興味ある人はぜひ一度見学してみてください!

安土城

  • 住所:滋賀県近江八幡市安土町下豊浦 
  • 営業時間:8:30~16:00(入場受付最終4時) ※ 季節により変動あり
  • 料金:大人700円、小人200円(安土山拝観料)
  • アクセス:JR琵琶湖線「安土駅」よりタクシーで約7分

安土城郭資料館

  • 住所:滋賀県近江八幡市安土町小中700
  • 開館時間:9: 00~17:00(最終入館16:30)
  • 休館:月曜日、年末年始
  • 料金:大人200円、学生150円、小人100円
  • アクセス:JR琵琶湖線「安土駅」より徒歩約1分

滋賀県立安土城考古博物館

  • 住所:滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6678
  • 開館時間:9: 00~17:00(最終入館16:30)
  • 休館:月曜日(祝日・休日の場合は翌日休館)、12月28日~1月4日
  • 料金:大人500円、高大生320円、中学生以下無料
  • アクセス:JR琵琶湖線「安土駅」より「文芸の郷」行きの近江八幡市民バスで約14分

安土城天主 信長の館

  • 住所:滋賀県近江八幡市安土町桑実寺800
  • 開館時間:9: 00~17:00(最終入館16:30)
  • 休館:月曜日(祝日・休日の場合は翌日休館)、12月28日~1月4日
  • 料金:大人610円、高大生350円、小中学生170円
  • アクセス:JR琵琶湖線「安土駅」より徒歩で約25分、またはタクシーで約5分

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