【取材レポート】東京国立博物館で深掘り!アニメのルーツを辿る「新ジャポニズム」と日本美術史の魅力

世界を魅了する日本のアニメーション作品。その表現のルーツが、どこにあるのか考えたことはありますか? 実は、縄文土器、絵巻、仏画、浮世絵といった日本美術史の中には、現代のアニメに繋がるさまざまな要素やエッセンスが散りばめられています。

東京国立博物館で開催中の『イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~』は、そんな日本美術とアニメの意外な繋がりを体感できる最新の映像体験。アニメ好き、かつ日本美術ファンの私も、この『新ジャポニズム』の魅力に惹かれ、さっそく現地へ取材に行ってきました! 

このシアターをきっかけに、日本の現代アニメに繋がる日本美術史のエッセンスや概要を知ることができれば、東京国立博物館の常設展や企画展を何倍も深く楽しめますよ。お気に入りのアニメ作品に繋がる意外な要素を探してみるのもおすすめです。今回は、そんな新しい視点で日本文化を深掘りする『イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~』の楽しみ方をご紹介します。

日本美術史をダイジェストで体感!『イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~』(本館 特別5室)※2025年8月3日まで

『イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~』は、高さ7mの巨大モニターに映し出される超高精細映像で、日本の美術史を駆け抜ける約24分の映像体験です。

縄文土器や土偶、埴輪といった古代の造形物から、絵巻、鎧兜、屏風、浮世絵、そして現代を代表する手塚治虫、高畑勲、細田守といった監督の名作アニメやポケモンなどの人気アニメまで、日本の貴重な文化財が普段見ることのできない角度やサイズで鑑賞できます。

ぐっと作品に寄って細かな部分や質感を見ることができるのは、高精細な映像ならでは。

このシアターは、日本美術史の広大な世界への没入感あふれる入口として最適です。美術の知識がなくても、アニメのルーツが縄文土器や浮世絵といった意外な場所に隠されていることに気づかされるでしょう。この映像体験で得たインスピレーションを胸に、東京国立博物館の各展示室へ足を運んでみてください。きっと、新たな発見があるはずです。

映像体験の章立て

  • 第1幕:タイムトラベル 日本の美
  • 第2幕:江戸中期 蔦屋重三郎がポップカルチャーの礎を築いた
  • 第3幕:日本アニメの誕生と飛躍
  • 第4幕:日本アニメと日本文化の共通コード

大河ドラマ俳優・横浜流星さんがナビゲーター

この壮大な映像体験のナビゲーターを務めるのは、現在、日本のテレビ局NHKで放送中の大河ドラマ(歴史ドラマ)「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」で主人公の蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)を演じる、日本の人気俳優・横浜流星(よこはまりゅうせい)さん。

横浜流星さんの心地よい声とともに、日本の美意識とアニメの歴史を巡るタイムトラベルへ!彼のナビゲートが、あなたの日本文化への理解をより深めてくれるでしょう。

“新ジャポニズム”を感じるオリジナルグッズにも注目

Tシャツ5,940円

展覧会を訪れたら、ぜひチェックしたいのがオリジナルグッズ。『イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~』では、日本の今と昔を斬新なコラージュで現代的に表現するブランド「じゃぽらーじゅ」とのコラボレーショングッズが登場しています。ポップでユニークなデザインは、お土産にもぴったり!

シアターの出口付近にはショップがあり、日本美術に関連するさまざまなグッズが並んでいます。ぜひ、お気に入りの一品を見つけて、新ジャポニズムの余韻を日常でも楽しんでください。

開催概要:イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~

  • 展覧会名: イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~
  • 会期: 2025年3月25日(火)~2025年8月3日(日)
  • 会場: 東京国立博物館 本館 特別5室
  • 開館時間: 9:30~17:00(毎週金・土曜日、5月4日・5日、7月20日は20:00まで開館。最終入場は閉館の30分前まで)
  • 休館日: 月曜日、5月7日(水)、7月22日(火)※ただし、3月31日(月)、4月28日(月)、5月5日(月・祝)、7月21日(月・祝)は開館
  • 観覧料金: 一般 2,000円、大学生 1,200円、高校生 800円(中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料)※観覧当日に限り、本展のチケットで、東博コレクション展(平常展)、『浮世絵現代』(表慶館)も観覧可能
  • 主催: 東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション
  • 公式サイト: イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~

【必見!】『新ジャポニズム』と合わせて楽しむ特別展

『イマーシブシアター 新ジャポニズム』を体験した後は、ぜひ東京国立博物館で開催されている関連特別展にも足を延ばしてみましょう。イマーシブシアターの観覧券を提示すると、お得に鑑賞できる展覧会もありますよ。


日本ポップカルチャーの礎を築いた男 特別展『蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児』(平成館)※2025年6月15日まで

イマーシブシアターの第2幕にも登場する江戸時代の出版人、現代でいうところのメディアプロデューサーともいえる「蔦屋重三郎」に焦点を当てた特別展です。喜多川歌麿(きたがわうたまろ)や東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)といった浮世絵師を世に送り出し、江戸のポップカルチャーを牽引した彼の功績を深く知ることができます。イマーシブシアターで蔦屋重三郎の紹介を見た方は、彼の偉業をさらに深掘りできる貴重な機会です。

本展では作品が展示されているだけでなく、当時の江戸の町の様子を再現した場所もあり、テーマパークのような雰囲気も楽しめます。

外国人向けには、英語の音声ガイドと出品目録も用意されていましたよ。

開催概要

  • 展覧会名:蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児
  • 会期:2025年4月22日(火)~2025年6月15日(日)
  • 会場:東京国立博物館 平成館 特別展示室
  • 観覧料金:一般2,100円、大学生1,300円、高校生900円(中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料)

『浮世絵現代』(表慶館)※2025年6月15日まで

『イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~』または『蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児』の観覧券を持っている人は、観覧日当日に限り『浮世絵現代』を無料で鑑賞できます。この展覧会は、江戸時代に発展した浮世絵の木版画技術が現代にどう受け継がれ、表現されているかを紹介しています。現代アーティストが浮世絵の伝統技術をどのように拡張しているか、その可能性を感じられるでしょう。

開催概要

  • 展覧会名:浮世絵現代
  • 会期:2025年4月22日(火)~2025年6月15日(日)
  • 会場:東京国立博物館 表慶館
  • 観覧料金:一般1,400円、大学生700円、70歳以上400円(高校生以下、障がい者とその介護者1名は無料)※特別展『蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児』、または『イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~』の観覧券をお持ちの方は、観覧当日に限り無料で観覧可能

「浮世絵現代」と「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」は2025年6月15日(日)で終了します。お早めに!

東京国立博物館とは?日本とアジアの美の宝庫を巡る

また、上記の特別展やイマーシブシアターの観覧券があれば、観覧当日に限り東京国立博物館の東博コレクション展(平常展)を見ることもできます。

東京国立博物館は、日本で最も歴史と規模を誇る博物館です。1872年に創設され、現在では約12万件もの収蔵品を誇り、そのうち約3,000件が常時展示されています。縄文時代から江戸時代、さらに近代に至るまでの日本の美術品や考古遺物をはじめ、アジア各地の美術工芸品も網羅しており、そのコレクションはまさに圧巻です。

東博コレクション展は、本館(日本ギャラリー)、東洋館(アジアギャラリー)、法隆寺宝物館など、複数の建物に分かれています。

本館(日本ギャラリー)

日本の美術史を一望できる主要なギャラリーです。展示されているのは縄文土器や埴輪、仏像、絵巻物、武士の甲冑、茶道具、そして葛飾北斎や歌川広重の浮世絵など、日本のあらゆる時代の代表的な美術品や工芸品(定期的に展示替えがあります)。イマーシブシアターで紹介された作品の「本物」を間近で鑑賞できるのは、この本館です。アニメの表現のルーツが、絵巻物の動きや浮世絵の構図、はたまた土偶のキャラクター性にあるのかも…なんて想像しながら見て回るのも楽しいですよ!

東洋館(アジアギャラリー)

中国、朝鮮半島、インド、エジプトなど、アジア各地の美術品や考古遺物を展示しています。多様な文化がどのように日本に影響を与えたか、その繋がりを感じられるでしょう。

法隆寺宝物館

奈良の法隆寺から伝来した約300件の貴重な宝物が収蔵されており、美しい仏像や工芸品を見ることができます。

1日ではとても見きれないほどのコレクションが待っています。イマーシブシアターで得た知識を胸に、ぜひ東博コレクション展の各展示室を巡り、お気に入りの作品や、日本のアニメに繋がる「美」の源流を探してみてください。

『イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~』は2025年8月3日(日)まで

東京国立博物館で、アニメと日本美術史の意外な繋がりを探す旅に出てみませんか?『イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~』を入口に、深い日本文化の魅力を発見しに行ってみてください!

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