あなたはどう思う?日本の大学生が❝命がけ❞で取り組む「就活」~ちょっと変わった日本の習慣~

  • May 30, 2022
  • Shiori

こんにちは!FUN! JAPANの日本人スタッフ、Shioriです。FUN! JAPANで海外出身の同僚と働く私は、最近ある事に気づきました。それは…

  • 私が当たり前だと思っていた習慣が、実は日本特有のものだったり、海外の人からすると「ちょっと変わっている」ものだったりする。

今回紹介する「就活(しゅうかつ)」も、どうやら日本特有の習慣のようです。就活は、「大学生が卒業後の就職先を探す活動」を意味する言葉です。そして、日本の大学生の多くは、「就活」を「4年間の大学生活で何よりも重要なイベント」と考えています。

ということで、この記事では日本の大学生が命がけで取り組む「就活」の実態を紹介します。記事を読んだら、あなたの意見や感想をぜひコメント欄に書き込んでください!

春になると現れる「黒いスーツを着た若者」

日本では、毎年3月~夏ごろにかけて、電車の中やビジネス街で上の絵のような姿をした若者を頻繁に見かけます。

彼らは「就活」をしている大学生です。「就活」とは、大学生が、卒業後の就職先を見つけるために、企業の人材募集に応募したり採用面接を受けたりする活動(=「就職活動」、略して「就活」)です。

就活をする学生の多くは、採用面接に行くときに上の絵のような黒色であまり特徴のないスーツを着ます。これは、就活をする学生のために作られたスーツで、「リクルートスーツ(recruit suit)」と呼ばれています。普段は髪の毛を茶色く染めている人は、「就活」の時期になると黒く染めるのが一般的です。

企業が学生にこのような格好で面接に来ることを要求しているわけではありません。それにもかかわらず、ほとんどの学生が同じようなリクルートスーツを着て、髪を黒く染めて就活をするのには、以下のような理由があります。

  • 面接の担当者に対して「真面目」「清潔」という印象を与えるため。
  • 20年以上前から続いている習慣なので、就活=リクルートスーツに黒髪という考えが当たり前になっている。
  • 自分だけ異なる格好をすると、採用担当者から「協調性がない」と思われるかもしれないから。

海外の人が見たら驚き!?日本の就活マナー

リクルートスーツ以外にも、「就活」には様々な特徴があります。その前に、まずは就活の流れについて紹介します。

日本には、「新卒一括採用」という特有のシステムがあります。これは、企業が毎年決まった時期に、大学卒業予定者を対象に人材募集を行い、学生は大学に通いながら採用面接などを受けて、在学中にジョブオファーを受けるシステムです。就活をする学生たちは、この人材募集に応募する人たちなのです。

一般的に、就活が本格的に始まるのは大学3年生の3月です。なぜなら、多くの企業が3月に一斉に人材募集を始めるからです。3月に就活が始まり、面接や能力検査などの採用プロセスを経て、6月~秋ごろに就職する企業が決定します。そして、翌年の3月に大学を卒業し、4月から企業で働き始めます。つまり、就活は実際に働き始める1年以上も前にスタートするのです。

就活の最初の難関、エントリーシート

就活は、企業に「エントリーシート(Entry Sheet)」を提出することから始まります。エントリーシートは、自分のプロフィールや強みなどを記入するもので、企業の採用担当者はこのエントリーシートを見て、面接したい学生を選びます。

必ずしも就職したい企業に採用されるとは限らないので、数十社~多い人は100社以上にエントリーシートを提出します。

学生はエントリーシートに添付する顔写真を重視しており、多くの学生は1万円前後かけてプロに撮影してもらいます。就活をする女子学生のメイクは「就活メイク」と呼ばれています。就活メイクは、採用担当者に「知性」や「清潔感」を感じさせることを意識したメイクです。

ドアのノックは3回。細かすぎる面接のルール

さて、エントリーシートが通過したら、面接です。大企業の場合、応募する学生も多いので、面接は1次面接、2次面接、3次面接、最終面接と、何度もあります。

面接の時は、リクルートスーツ以外にも、驚くような習慣があります。例えば…

  • 学生は、面接部屋に入る前にドアを3回ノックする。部屋の中にいる面接官が「どうぞ、入ってください」と言ったらドアを開け、部屋に入る。
  • 面接の間は、両手を膝の上にそろえる。
  • 面接が終わったら、部屋から出る前に、ドアの前で面接官に向かってお辞儀をして「失礼します」と言う。
  • 面接が終わったら、企業に「面接をしてくれたお礼」を伝えるメールや手紙を出す学生もいる。

面接官が学生に対してこのようなマナーを要求しているわけではありません。しかし、学生は面接官に少しでも良い印象を与えるために、これ以上ないくらい礼儀正しく振る舞うのです。

さて、面接の際に面接官が必ず学生に聞く質問があります。それは、「学生生活で最も力を入れたこと」です。学生は、この質問に完璧に答えるため、スポーツやアルバイト、ボランティアなど、就活が始まる前から「力を入れる何か」を作ろうと必死になります。

なお、面接のほかに、能力テストの結果も採用・不採用に影響します。

不採用になった時に届く「お祈りメール」とは?

応募した企業に採用されなかった場合、企業から学生に、不採用を知らせるメールが届きます。学生たちはそのメールを「お祈りメール」と呼びます。

なぜなら、不採用を知らせるメールは、文章の最後に「あなたの今後のご活躍をお祈りします。」と書かれているからです。「不採用になった」と言う代わりに、「お祈りメールが届いた」とか「お祈りされた」と言う学生も多いです。

日本人が就活に莫大なエネルギーを注ぐ理由

就活は、とても疲れます。エントリーシートや面接、能力テストの準備に多くの時間を費やし、採用されたら嬉しくて泣き、不採用になれば悲しくて泣いたりします。

なぜ、日本人はこれほどにも就活にエネルギーを注ぐのでしょうか?それには、以下のような日本の事情が関係しています。

  • 「就職先は大学在学中に決める」という考えが定着しており、就職先が決まらないことに対する恐怖心があるから
  • 日本は「終身雇用」(ひとつの企業で定年退職するまで働き続けること)の考えがまだまだ根強く、就活を頑張って大企業や有名企業に入れば、一生安定した暮らしができると考えている。

ただ、最近は、このような就活の在り方に疑問を持つ人も増えており、決まった時期に人材募集を行う代わりに学生が好きなタイミングで応募できるようにする企業も出ています。また、ひとつの企業で一生働きたいと考える若者も減りつつあります。

さらに、多様性を尊重する意識が高まっているので、リクルートスーツに黒髪という画一的な就活スタイルに反対する学生や企業も増えています。

日本の大学生が就職したい企業、ナンバーワンは?

就活に関する情報を発信するメディア「学情(がくじょう)」が行った調査 によると、2023年3月に大学(大学院を含む)を卒業する学生に人気の就職先は、男子学生の1位が伊藤忠商事、女子学生の1位が集英社でした。

伊藤忠商事は日本の大手商社のひとつで、社員の平均年収が1,000万円を超えることで有名です。集英社は日本の大手出版社で、ファッション雑誌「non-no」や、漫画「鬼滅の刃」を出版しています。

さて、少し変わった日本の「就活」、あなたはどう感じましたか?よかったら、あなたの国の就活事情も教えてくださいね。コメント、お待ちしています!



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