
日本には「七福神」信仰があります。七福神はそれぞれ異なるご利益を持ち、一緒に巡ることで様々な福を授かるといわれています。全国各地で行われている七福神巡りの中でも、東京日本橋の七福神巡りは特に人気があります。この記事では、なぜ東京日本橋の七福神めぐりが人気があるのか、その魅力やご利益、各神社の詳細、おすすめのまわり方などを徹底解説します。
日本の七福神とは?七福神の名前とご利益

「福徳」をもたらす神様を「福神(ふくじん)」と呼びます。「七福神」とは福徳をもたらす神として信仰されている七柱の神のこと。恵比寿(えびす)、大黒天(だいこくてん)、毘沙門天(びしゃもんてん)、布袋(ほてい)、福禄寿(ふくろくじゅ)、寿老人(じゅろうじん)、弁財天(べんざいてん)の七柱で、7つの異なる福をもたらしてくれると信じられています。日本では室町時代より信仰が始まったとされており、約500年にわたり受け継がれ、お正月の縁起物として七福神巡りや宝船に乗った七福神の絵を飾る人もいます。福をもたらす存在として人気が高く、1月2日の夜に宝船に乗った七福神の絵を枕の下に敷いて寝ると縁起がよいともいわれています。
七福神は、日本の伝統的な信仰とインドや中国から伝わった神々が融合して生まれました。国産の神は恵比寿だけで、他は外来の神です。それぞれの七福神がどんなご利益をもたらすのかみてみましょう。
七福神のご利益と特徴
神様の名前 | 出身地 | ご利益 | 特徴 |
恵比寿(えびす) | 日本 | 商売繁盛、五穀豊穣(漁業や農業の神) | 鯛を抱えた笑顔 |
大黒天(だいこくてん) | インド | 金運、仕事運 | 打出の小槌(うちでのこづち)と袋を持っている |
毘沙門天(びしゃもんてん) | インド | 勝負運、金運(財運)、厄除け | 鎧を着て槍を持つ力強い姿 |
布袋(ほてい) | 中国 | 子宝、夫婦円満、開運招福 | 大きなお腹と笑顔 |
福禄寿(ふくろくじゅ) | 中国 | 長寿延命、健康、知恵 | 長い頭と杖を持つ |
寿老人(じゅろうじん) | 中国 | 長寿延命、健康、幸福 | 鹿を連れた賢者の姿 |
弁財天(べんざいてん) | インド | 金運、芸術・芸能上達、学業成就 | 琵琶を奏でる美しい女性の神 |
なぜ東京・日本橋の七福神めぐりは人気なのか?
東京の日本橋七福神巡りの魅力について解説します。
都心で抜群のアクセス

日本橋七福神巡りの最大の魅力はアクセスのよさにあります。日本橋は東京の中心にあり、東京駅から徒歩10分ほどで行くことができます。またバスや地下鉄でもアクセスでき、訪れやすい場所です。
短時間&徒歩でラクラク巡れる・子どもと一緒に楽しめる体験
他の地域にある七福神巡りでは、バスやタクシーを利用し広い範囲を移動する地域もありますが、日本橋七福神はすべての神社を徒歩で2〜3時間あれば巡ることができます。平坦な道がほとんどで、街の雰囲気を楽しみながら気持ちよく散策ができます。子ども連れのグループでも歩く距離が短いので、スタンプラリー感覚で御朱印を集めたり、各神様のユニークな特徴やご利益を話しながら歩いたり、飽きずに日本の歴史や文化に触れるよい機会になること間違いなしです!
歴史ある土地、日本橋の背景
東京の日本橋は高層ビルが立ち並ぶ単なるビジネス街ではありません。江戸時代には五街道(※1)の起点となり、商業の中心地として大いに栄えた歴史のある場所です。全ての街道は日本橋を起点としていたので、現在も日本橋の橋の上には、日本国道路元標(にっぽんこくどうろげんぴょう)があります。これは「ゼロ地点」と呼ばれ、その名の通り道路の起点となるポイントを示したもので、まさに日本の中心といえる場所です。
※1 五街道とは江戸時代に徳川幕府が定めた主要な街道で、東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道があります。
また現在の日本銀行(東京都中央区日本橋本石町)がある場所は、かつて「金座(きんざ)」(※2)と呼ばれる金貨を鋳造する重要な場所でした。金貨の製造のほか通貨の発行も行い、現在の中央銀行業務に相当する役割をしていました。このように日本橋はお金にゆかりの深い場所。金運アップのご利益を求める人々が訪れる歴史的な背景があります。
参照:日本銀行HP
※2「金座」とは、江戸幕府から大判を除くすべての金貨の製造を独占的に請け負った貨幣製造機関のこと
東京・日本橋七福神巡り おすすめの回り方と所要時間
日本橋七福神巡りにはスタート地点や順番はありません。アクセスのよい場所から自由に巡ることができます。ここではおすすめのコースと所要時間、混み合う場所や時間帯、おすすめの季節をご紹介します。
おすすめのコース
- ①小網神社(弁財天・福禄寿)からスタート:最寄り駅(東京メトロ日比谷線「人形町」駅 A2 出口より徒歩5分)
- ②茶ノ木神社(布袋尊)
- ③水天宮(弁財天)
- ④松島神社(大黒天)
- ⑤末廣神社(毘沙門天)
- ⑥笠間稲荷神社(寿老神)
- ⑦椙森神社(恵比寿)でゴール
途中休憩できるカフェやお土産屋が並ぶ甘酒横丁にも立ち寄りやすく、スムーズに7つの神社を巡ることができるコースです。
所要時間の目安と混み合う場所・時間帯・おすすめの季節
所要時間の目安は約2〜3時間。全ての神社を参拝し御朱印をいただく時間をあわせても、ゆっくり巡ることができる時間です。休憩やショッピングを挟む場合でも、約3〜4時間くらいほどの時間で十分楽しめます。1月1日〜3日は七福神巡りに訪れる人が多いので混雑します。また1月中は職場で新年の参拝に訪れる人々が多く観光客以外の参拝も多い時期です。週末や祝日も混みやすいので、平日の午前中は比較的ゆっくり参拝ができますが、平日でも「大安」「天赦日」「一粒万倍日」「巳の日」は混み合うことがあります。特に小網神社は参拝の行列が多い神社です。季節をかえて何度も訪れるのもおすすめです。
- 1月〜2月上旬:新年の開運巡りで、この時期限定の御朱印や授与品がある時期です。
- 3〜4月:桜の季節。花見を楽しみながら散策できます。浜町川緑道や浜町公園も桜の名所としてお勧めです。
- 11月〜:暑さが和らぎ過ごしやすい時期。ゆっくり街並みも楽しみながら参拝できる季節です。
東京・日本橋七福神 各社のご紹介:ご利益と見どころ・御朱印
七福神の御朱印を全て授かると、その一年は開運するといわれています。
小網神社 (こあみじんじゃ) - 弁財天・福禄寿
1466年に疫病封じのために創建された神社。都会のビル群に囲まれながらも、静かで厳かな雰囲気に包まれる境内です。神社の御守を受け戦地へ赴いた兵士全員が無事帰還したこと、東京大空襲の際も社殿を含む建物が戦災を免れたことから「強運厄除の神さま」として信仰されています。社殿に施されている、向かって右側にみえる「昇り龍」と左側にみえる「降り龍」は強運厄除の龍として拝されています。主祭神は倉稲魂神(うがのみたまのかみ)(稲荷大神)で、御祭神の一柱・市杵島比売神(いちきしまひめのかみ)(弁財天)は「東京銭洗い弁天」として信仰され、境内の「銭洗いの井」で金銭を清め、使わずに持っておくと金運を授かるといわれています。また、福禄寿は健康長寿のほか人徳・福徳・財徳の三徳があり、日本橋七福神の一柱として信仰されています。頭をなで自分の頭を触りながらお願いごとをしてみてください。
御朱印は「小網神社」「弁財天」「福禄寿」の3種類。書き置きでの頒布になります。
- 住所:東京都中央区日本橋小網町16-23
- アクセス:人形町駅から徒歩5分
- 参拝時間:24時間。授与所は9:00~17:00
- 定休日:なし
- https://www.koamijinja.or.jp/
茶ノ木神社 (ちゃのきじんじゃ) - 布袋尊
御祭神は伏見系の稲荷様で、徳川時代約3000坪に及ぶ下総佐倉の城主(十八万石)・大老堀田家の中屋敷の守護神として祀られていた神社です。社の周囲には丸く刈り込まれた茶の木がぐるりと植え込まれていたため「お茶の木様」の愛称で親しまれ、また長い年月の間、屋敷やその周辺の町で火災が起こらなかったことから「火伏せの神」として崇められてきました。昭和60年に布袋尊を御遷座し日本橋七福神のひとつとなりました。地域に根差した歴史を持つ神社です。御朱印は「茶ノ木神社」と書かれた御朱印と「布袋尊」の2種類。
- 住所:東京都中央区日本橋人形町1-12-10
- アクセス:水天宮前駅から徒歩2分
- 参拝時間:24時間
- 定休日:なし
- https://chanoki-jinja.net/
水天宮 (すいてんぐう) - 弁財天


1818年に九州・久留米藩の有馬公が久留米から分霊して屋敷内にお祀りしたのが始まりで、古くから安産や子授の神様として全国的に有名な神社です。境内の「子宝いぬ」の像は、周囲を取り巻く十二支のうち自分の干支を撫でると安産・子授け・無事成長などの御神徳を授かるといわれています。水天宮には財運上昇、芸事の上達、学業向上を授けてくださる七福神の一柱「弁財天」がまつられています。毎月5日と巳の日にご神像を拝観することができます。御朱印は「寳生辨財天(巳の日限定)」「寳生辨財天」「日本橋七福神巡り」など種類があり、書き置きのものをいただくことができます。
- 住所:東京都中央区日本橋蛎殻町2-4-1
- アクセス:水天宮前駅から徒歩1分
- 参拝時間:7:00~18:00(祈祷受付 8:00~15:30/神札所 8:00~18:00)無休
- 定休日:なし
- https://www.suitengu.or.jp/
松島神社 (まつしまじんじゃ) - 大国神

大国神が祀られ大黒様として親しまれている神社です。4世紀前半に再建されたとの文書があるため、それ以上の歴史があると伝えられています。このあたりはかつて海で、小島があり、そこへ宮司の祖先が移り住んで稲荷神を招き社を築いたといわれています。毎年11月に酉の市が開催されます。夢を正夢にしてくれる「良夢札」をいただけることでも有名です。御朱印は「松島神社」と「日本橋七福神巡り大国神」の2種類があります。
- 住所:東京都中央区日本橋人形町2-15-2
- 参拝時間:24時間。授与所は不定期で随時対応随時対応
- 最寄駅 東京メトロ半蔵門線水天宮前駅から徒歩3分
末廣神社 (すえひろじんじゃ) - 毘沙門天

七福神の一柱・毘沙門天が祀られています。末廣神社は今から400年以上前の慶長元年(1596年)以前に稲荷祠として鎮座していたと伝えられています。財運・勝運・開運・厄除け・無病息災に御利益があります。毘沙門天は龍(辰)や虎(寅)と縁があるので、辰の日、寅の日はお参りをして運気を上げるとよいでしょう。
- 住所:東京都中央区日本橋人形町2-25-20
- アクセス:人形町駅から徒歩5分
- 参拝時間:9:00~17:00(授与所は対応できない場合あり)
- https://suehirojinja.or.jp/
笠間稲荷神社 (かさまいなりじんじゃ) - 寿老神

日本三大稲荷のひとつ茨城県の笠間稲荷神社の御分霊で、江戸時代末期の安政6年(1859年)、笠間藩主の牧野貞直公が笠間から江戸の屋敷(現在の場所)に御分霊を遷したのが始まりです。日本橋魚河岸の守り神として、さらに五穀豊穣、水産・殖産興業の守護神として、身分を問わず商人や庶民から広く信仰を集めました。寿老神は長寿の神で、また人々の運命を開拓してくれる福徳の神です。家内安全・商売繁栄・交通安全・厄除け・開運などのご利益を授かることができます。
- 住所:東京都中央区日本橋浜町2-11-6
- アクセス:人形町駅から徒歩5分/浜町駅から徒歩5分
- 参拝時間:9:00~17:00
- 定休日:なし
椙森神社 (すぎのもりじんじゃ) - 恵比寿神

1,000年以上の歴史をもつ日本橋七福神の恵比寿様をお祀りし、江戸時代には宝くじの前身である「富クジ」が行われていたことから、境内には富塚があり、宝くじ祈願の参拝者も多く訪れる神社です。創建は平安時代に平将門の乱を鎮定するために、藤原秀郷が戦勝祈願をしたことがはじまりといわれています。御朱印は「毎月13日・10月3日」の「とみの日」、9月2日くじの日祈願祭の時には限定の「富」御朱印授与があり、「とみの日」が金曜日の場合、限定「富」御朱印の「富」の文字が金色になります。
- 住所:東京都中央区日本橋堀留町1-10-2
- アクセス:人形町駅から徒歩5分/小伝馬町駅から徒歩5分
- 参拝時間:24時間。授与所は9:30~17:00(不在あり)
- 定休日:なし
- http://suginomori.g2.xrea.com/
日本橋七福神巡りを楽しむための神社の参拝マナー
注意事項
拝殿の内部は撮影禁止の場合が多いので、標識や案内に従い他の参拝者の迷惑にならないように注意しましょう。まず最初に神様への参拝をすませ、おみくじやお守り、御朱印などは最後にしましょう。
東京・日本橋のおすすめスポット
東京・日本橋ならではの魅力的なスポットへも足をのばしてみませんか?
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日本橋三越本店
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- 住所:〒103-8001 東京都中央区日本橋室町1-4-1
- 営業時間:10:00~19:00 (食品・1階は10:00~19:30)
- レストラン営業時間 本館:11:00~19:00(7階)
- 新館:11:00~22:00(地下1階・9階・10階)
- ※各階レストラン・喫茶は店舗により営業時間が異なるため要確認
- https://www.mistore.jp/store/nihombashi.html
東京・日本橋の老舗のお店
日本橋には江戸時代から続く老舗の和菓子店やレストランがたくさんあります。
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東京・日本橋の宿泊施設
日本橋周辺のホテルは七福神巡りの拠点としても東京観光時にも大変便利な立地です。
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東京・日本橋へのアクセス情報
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参考文献
- 「神社と神さま」がよくわかる本 著者:島崎晋 発行元:PHP研究所 2007年12月3日第一版第一刷発行
- 日本人なら知っておきたい!「図解」神道としきたり事典 監修者茂木貞純 発行所 株式会社PHP研究所 2014年2月10日第一版第一刷発行
参照
- 日本橋七福神巡り https://www.nihonbashi-shichifukujin.gr.jp/
- 東京の公式観光ガイド https://www.gotokyo.org/jp/destinations/central-tokyo/nihombashi/index.html
- Central Tokyo for Tourism https://centraltokyo-tourism.com/ja-jp/spot/detail/106662
- 東京都神社庁
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