郷土料理の再現シリーズ⑪:茨城県:そぼろ納豆

  • Mar 15, 2023
  • Pauli

世界的にもブームとなっている日本の食べ物「納豆」。納豆は、煮る・蒸すなどして柔らかくした大豆を納豆菌によって発酵させた発酵食品。一般的に「糸引き納豆」のことを指す。和食の基本的な食材の1つとして日本全国の食品売り場で一年を通して安い値段で容易に手に入れることができる。

この納豆と切り干し大根と呼ばれる野菜の乾物で作るのが「そぼろ納豆」という料理だ。「そぼろ納豆」は日本の中でも茨城県の、水戸市を中心とする県央地域で郷土料理として知られている。今回はその「そぼろ納豆」についての情報、そして、最後に作り方も一緒に学ぼう!

日本の郷土料理 (きょうどりょうり)とは?

郷土料理(きょうどりょうり)は、各地域の産物を上手に活用して、風土にあった食べ物として作られ、長年その土地で食べられてきた料理のことである。日本人のソウルフードでもあり、地域ごとの食文化が体験できるので国内グルメ旅行でも人気。

納豆の発祥と歴史

納豆の由来・発祥の地には諸説あるが、その中でも有力とされる説が残っているのが茨城県水戸市だ。水戸の納豆に関する歴史は古く、1083年に、平安時代の武将・源義家が、奥州に向かう途中、水戸市渡里町の一盛長者の屋敷に泊まった際に、家来が馬の飼料用に煮豆を作り藁で包んでいた。この煮豆の残りが知らない間に発酵し、豆が糸を引いていたという。これを食べてみると意外にも美味しく、義家に献じると大変喜ばれた。それ以降、将軍に献上するという風習が広まり、「将軍に納める豆」であることから「納豆」と呼ぶようになったのだ。

そぼろ納豆の由来

そぼろ納豆とは、納豆と切り干し(割り干し)大根を合わせて、塩や醤油などに漬けこんだ水戸市の伝統的な料理。切り干し大根とは、大根を3日間天日と寒風にさらし、最後の夜に夜風で凍らせた乾物だ。

そぼろ納豆の「そぼろ」という言葉は、一般的には豚肉や鶏肉をゆでてほぐし汁気がなくなるまで炒めたもののことで、別の意味で「細かいもの」や「細かく刻んだもの」のことも指す。

ちなみに、「そぼろ納豆」は「おぼろ納豆」や「しょぼろ納豆」と呼ぶ場合もあるが、意味は同じだ。そぼろ納豆が生まれた背景には、茨城県で納豆づくりと大根づくりで盛んだったことが理由としてあげられる。
茨城県の水戸市では、江戸時代、台風が来る前に収穫できる大豆を美味しく食べる工夫として納豆づくりが盛んだった。当時は、秋に収穫した大豆で納豆をつくり、近所やお寺等に配るという習慣があり、その際に余った納豆を長い間食べられるよう、納豆を使った様々な郷土料理が生まれたのだ。
そぼろ納豆もそうして生まれた郷土料理の一つ。糸引きが良くない納豆ができた際に、大根を使った保存食、寒干し(切干)大根を混ぜて塩漬けにしたのが、現在のそぼろ納豆の原型だ。

そぼろ納豆はつくる手順が簡単なことから、現代でも家庭料理の一つとしてよく作られるが、現在は、切干大根を醤油やみりんなどで煮詰めて味付けすることが多い。

ここまでは、そぼろ納豆の歴史と由来について紹介してきた。次は作り方を紹介!レシピを学んで実際に作ってみてはいかが?

そぼろ納豆のレシピ

そぼろ納豆の材料(2人分)

切り干し大根とは

切り干し大根は、大根を細く切り、天日で干して乾燥させたもの。日光を浴びることで甘みが増し、独特のシャキシャキとした食感が生まれる。一般的に切り干し大根といえば細切りにしたものだが、大根を太めに切った「割り干し大根」もあり、さらにかみごたえが楽しめる。

  • 切り干し大根(乾燥)……15g
  • 納豆……2パック
  • しょうゆ……大さじ1杯
  • みりん……大さじ1杯
  • 酒……大さじ1杯

そぼろ納豆の作り方

  1. 切り干し大根を水でさっと洗い、水に15分ほど浸す。
  2. 水で戻した切り干し大根の水気をぎゅっと絞り、適当な大きさに切ります。
    *包丁で切っても、ハサミで切ってもOK。
  3. フライパンや小鍋に、切り干し大根としょうゆ、みりん、酒を入れて弱火にかけます。調味料が全体に混ざるように、ざっと混ぜながら炒める。
  4. 調味料の汁気がなくなったら、火をとめる。ボウルに納豆と、付属のたれとからしを入れ, 炒めた切り干し大根を加える。
  5. しっかり全体を和えたら完成。

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