【日本の名城シリーズ】江戸幕府を開いた徳川家康、生誕の地「岡崎城」

写真提供:一般社団法人 岡崎市観光協会

群雄割拠の戦国時代、織田信長などたくさんの武将たちが「天下取り」という野望に燃え、戦いに奔走し、約120年にも及ぶ戦乱の末、徳川家康によって天下が統一されました。そして江戸幕府の初代征夷大将軍となった徳川家康によって、270年近い安定政権の礎が築かれました。

これまで、日本の公共放送NHKの大河ドラマでは、何度も家康について描かれてきましたが、2023年1月から放送される『どうする家康』でも、再びこの天下人が主人公に選ばれました。今回は、この大河ドラマの主人公・家康が生まれた岡崎城をご紹介します。

征夷大将軍、出生の地

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愛知県岡崎市にある岡崎城は、15世紀、1452年~1455年の間に築かれました。最初の築城者は西郷頼嗣(稠頼)で、龍が住んでいると言い伝えられる「龍頭山」と呼ばれる丘陵地に城を構えたことから「龍城」「竜ヶ城」の別名を持っています。その後、1531年に家康の祖父・松平清康によって移築造営され、その後整備拡張され、1542年、家康がこの城で誕生しました。

家康は、この城で生まれましたが、6歳の時から人質として織田家(織田信秀)、その後8歳からは今川家(今川義元)のもとへ立て続けに送られ、早々に故郷を離れました。そして1560年の桶狭間の戦いで今川義元が敗れ、やっと今川家から岡崎に帰ります。その後、岡崎城を拠点に三河国(現愛知県東部)を統一。後の天下統一の基礎を築きました。

三河武士の砦

写真提供:一般社団法人 岡崎市観光協会

1570年、家康は遠江国(現静岡県浜松)に拠点を移します。しかし、変わらず岡崎城を重視した家康は、まず長男の徳川信康(松平信康)を城主に任命。1579年信康の死後は、腹心の重臣が次々と城代となりました。これらの忠臣には徳川家康と同じく三河出身の者が多く、名将・石川数正などがいます。

1590年、家康の権勢を象徴する三河武士の砦であったこの城は、一度、豊臣秀吉に占領され、秀吉の家臣・田中吉政が城主となりました。秀吉は岡崎城を掌握して徳川の勢力を押さえようとしていたのです。同時に、田中吉政は大規模な岡崎城の改築に乗り出し、城の城壁を拡張、城下町を整備しました。

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家康が天下を統一し、岡崎城が再び徳川氏の統治下に入ると、岡崎城は家康誕生の地として重視され、「神君出生の城」と呼ばれるほどでした。以後、徳川家の譜代大名が城主を務めました。

江戸以後の新しい姿

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岡崎城も他の日本の城郭と同様、明治時代の廃城令により、過去の建造物は取り壊され、石垣や堀の跡がわずかに残るのみでした。地元住民は天守閣が失われたまま復建されないことに耐えかね、人々の強い願いにより、1959年、かつての設計に似せて天守閣が再建されました。

写真提供:一般社団法人 岡崎市観光協会

岡崎城は日本100名城の一つに選ばれ、城周辺の岡崎公園も日本さくら名所100選の一つに選ばれています。白壁と黒瓦の天守閣に、鮮やかな桜のピンク色がよく映え、そのロマンチックな風情は、三河武士が一生を捧げた武士ロマンを彷彿とさせます。

写真提供:一般社団法人 岡崎市観光協会

現在は、岡崎城とかつての二の丸と本丸を含む一帯が「岡崎公園」として整備されています。園内には石垣や堀の跡が見られるほか、家康にまつわる事物が多く残されています。家康が生まれた時に初めて沐浴をしたと伝わる井戸、園内に点在する石像や銅像、「三河武士のやかた家康館」など、天下人を知る上で貴重な場所となっています。

写真提供:一般社団法人 岡崎市観光協会

岡崎城には『グレート家康公「葵」武将隊』という武将隊もおり、土・日、祝日に特別演武を披露するほか、平日にも岡崎公園内に出没し立ち回りを見せます。見つけたら、是非、一歩歩み寄って声をかけてみてくださいね。

観光スポット情報

  • 名称:岡崎城・岡崎公園
  • 住所:愛知県岡崎市康生町561
  • 利用時間:
    【岡崎城・三河武士のやかた家康館】 9:00-17:00 (最終入場16:30)
  • 料金:
    【岡崎城】大人300円、5歳以上150円
    【三河武士のやかた家康館】大人360円、5歳以上200円
    ※三河武士のやかた家康館は料金改定中、最新情報は公式サイトをご覧ください。
  • 定休日:12月29日-12月31日
  • アクセス:名鉄「東岡崎駅」東口から徒歩約15分

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